米国・イラン・戦争-「戦争回避のウルトラCは自衛隊の基地をイラン国内に作ること」

-解説:アメリカとイランの関係が急速に悪化しており、戦争の危機が高まっています。最初はトランプ大統領がイラン核合意から一方的に離脱したことから始まり、イランの革命防衛隊をテロ組織に指定し、安倍総理の訪問中にホルムズ海峡でタンカーが何者かに攻撃され、イランはアメリカの無人偵察機が領空侵犯したとして偵察機を撃墜と急速に関係が悪化しています。

ホルムズ海峡でのタンカー攻撃では、アメリカは初期段階からイランが関与していると名指しし、証拠としてイラン軍がタンカーから不発弾を取り外している映像を公開しました。イラン側は全力でタンカーの船員を救助する為の安全確保の為だったと言っていますが、それなら何故その旨を事前にアメリカに通達しなかったのかという疑問が残ります。

アメリカは攻撃に使われた水雷がイラン製に酷似している新証拠も提示し、イラン犯人説は強まっています。その中でのアメリカ偵察機の撃墜は、もし領空侵犯していなければ、アメリカに対する直接の攻撃となり、一気に戦争に近づくでしょう。

何とか戦争を回避する方法はないのでしょうか。

-シーア派のイランには敵が多い

中東は非常に宗教が絡み非常に複雑ですが、特にイランは周囲に敵が多い国です。その最大の理由はイランがシーア派と呼ばれるイスラム教の少数宗派の国であることです。

イスラム教は偶像崇拝を禁止している宗教です。特にスンニ派はそれを厳格に守っており、だからこそスンニ派の過激派であるタリバンはバーミヤン大仏を偶像崇拝だとして破壊するのです。それに対して、同じイスラム教でもシーア派は偶像崇拝に寛容な部分があり、宗教指導者の肖像を飾ることも問題にされません。シーア派はイスラム教開祖のムハンマドと血がつながった人が宗教指導者になる宗派ですから、宗教指導者が崇拝の対象となります。

だからこそ、厳格なスンニ派はそれを偶像崇拝だとして許すことができないので、お互いに対立しているのです。しかも、比率で言えば、スンニ派が9に対してシーア派1の少数派です。イランは中東でスンニ派の国に囲まれているという状況が続いているのです。

-イランを潰したい国々

イランはイスラム教シーア派でサウジアラビアを中心とした同じイスラム教のスンニ派からだけでなく、ユダヤ教のイスラエルからも敵対視されています。そして、そのどちらの国の背後にもアメリカがいるのです。

イスラエルは言うまでもなく、アメリカの庇護下にある国家で、特にトランプ大統領になってからは、大使館のエルサレムに移転やゴラン高原のイスラエル主権を認める等、より関係が密になっています。

サウジアラビアはイラクがクウェートに侵攻した湾岸戦争以後、イラクの侵略を防ぐ目的もあり、アメリカ軍基地が国内に存在しています。もちろん、アメリカ側から見れば、サウジアラビアの石油利権を握っておきたいという意図があったでしょう。前オバマ政権は天敵のイランに対して融和姿勢をとった為、一時アメリカとの関係はギクシャクしましたが、現在は良好な関係に戻りつつあります。

-イラン側からの視点

このような現状をイラン側の視点から見ると、周りは敵に囲まれていて、唯一味方をしてくれそうな大国はロシアのみで、異宗教のハイテク国家の敵国イスラエルは公然の秘密として核兵器を持っており、同じイスラム教で宗派の違う中東の大国のサウジアラビアには世界最強のアメリカ軍の基地があるという状況です。

この状況では自力で核兵器を開発しないと国が存続できないと考えても仕方のないことかもしれません。イランから見て敵国のイスラエルもサウジアラビアも宗教と歴史が絡んでの敵対関係であるため、これを解消することは事実上不可能です。

そして、現在はその2カ国の背後にいたアメリカが直接圧迫を加えてきていますが、この圧迫に屈することは宗教指導者として、指導力がないことを示すことになる為、引くに引けない状況にあると言えます。

-まとめ:日本の自衛隊基地をイランに置くというウルトラC

アメリカもイランと戦争をするメリットが多いとはいえません。シェール革命により、産油国になったアメリカは以前のように中東の石油にしがみつく必要がなくなっています。また、宗教的最高権威であるハメネイ師を最高指揮官に持つイラン国軍と革命防衛隊は強固な団結と忠誠心の下に戦う為、アメリカ軍の苦戦が予想され、多数の犠牲者が出る可能性あります。

アメリカはイランが核開発さえ諦めてくれれば、正常な関係に戻す十分な動機がありますが、先述の通りイラン側から見れば、核兵器こそ自国をイスラエル、サウジアラビア(他スンニ派の国々)から守る唯一の解決策であるため、諦めるわけには行かないという事情があります。

しかし、アメリカから見れば、イスラエルとサウジアラビアの直接の脅威になる核保有を認めるわけにはいきません。核保有を認めれば、これを脅威と感じるイスラエルがイラクを独自に攻撃することが予想されます。そうなると各国を巻き込んでの第五次中東戦争の危険があります。

このように、どちらも譲れない事情があるので、解決は難しく戦争の可能性も一気に高まっているのが現状です。

最後に、私がウルトラCの解決策として提案したいのが、日本の自衛隊の基地をイランに置くという案です。日本とイランの関係は良好で、実際に6月12日には安倍総理は最高指導者のハメネイ師と会談しています。ハメネイ師と会談できる首脳は世界を見回しても限られています。

日本はその友好関係を生かして、自衛隊の基地をイラン国内に置くと、サウジアラビアやイスラエルはアメリカと同盟関係にある日本の自衛隊がいる為、イランに攻撃できない状況が生まれます。そうなれば、イランも自国の安全が保証されるので、核開発をする必要がなくなります。逆にイランが他国に侵略しようと考えても、アメリカと情報を共有している自衛隊の基地が国内にあることが抑止力となり得ます。

もちろん、日本はイランだけでなく、サウジアラビアやイスラエルとも利害関係があり、アメリカの賛成も必要なので、実現可能性が少ない頭の体操のような案ですが、これくらいのウルトラCの策でなければ、現在のアメリカ・イランの戦争への道を止めることは難しいのではないかと思っています。

何とか戦争への道を回避できるように外交努力を続けて欲しいと祈っています。今回の頭の体操のようなウルトラCの提案も人とは違った味方と言えるのではないでしょうか。

イラン訪問・タンカー攻撃-「現時点では犯人は革命防衛隊の可能性が高いね」

解説-安倍総理が6月12・13日の日程でイランを訪問し、最高指導者のハメネイ師やロンハニ大統領と会談しました。ハメネイ師から核兵器の製造や保有を目指す意図はないという考えを引き出した一方で、アメリカとは交渉せず、トランプ大統領にはメッセージを送る価値もないとも発言しています。

さらに驚くべきことに、安倍総理のイラン訪問中に日本が関係する1隻を含むタンカー2隻がホルムズ海峡で攻撃されるという事件が起こりました。アメリカはイランが犯人だと名指しし、緊張が高まっています。

-安倍総理訪問中にイランが仕掛けるか?

今回の安倍総理のイラン訪問は5月のトランプ大統領が訪日した際に決まりました。その背後で、トランプ大統領訪日の直前にイラクの外相も訪日し、カウンターパートの河野外相だけでなく、安倍総理とも会談しています。その直後にトランプ大統領が訪日し、6月12・13日の安倍総理のイラン訪問が決まっています。この流れを見ると、イラン側はアメリカとの関係修復を望んでいると思われていました。

そこに今回のタンカー攻撃が起こっているのです。しかも、安倍総理が訪問している最中に日本が関係する船舶も巻き込まれたということで、日本の面目も潰すことになります。アメリカはイランの革命防衛隊がタンカーに打ち込まれた不発弾を回収している映像があると主張していて、イランが犯人であると明言しています。

アメリカとの関係を修復したいイランがようやく仲介して訪問してくれた日本の顔を潰した上で、アメリカとの関係を逆に悪くするタンカー攻撃を行う理由がないのです。

-誰が得をするのか?

では、どの勢力にメリットがあるのかを見て行きたいと思います。つまり、アメリカとイランの軍事的緊張が高まることで得をする勢力です。

まずは同じイスラム教でも宗派が異なるイスラム教スンニ派の大国サウジアラビアが挙げられます。シーア派のイランと長年対決しており、親米派と見られている大国です。イランがアメリカに睨まれ、経済制裁を受け続けている状況はサウジにとっては大きなメリットと言えます。

次はユダヤ教国家のイスラエルが挙げられます。イスラエルにとってイランは、イスラム教支配地域を違法に占拠するものとして、イスラエルの存在権を否定している敵国です。イスラエルが核保有国であることは公然の秘密ですが、イランが核開発を完成させると中東で核ドミノが発生することは確実な為、アメリカがイランを押さえ込んでいる状況をキープすることはイスラエルにとって大きなメリットです。

あとは中東から外れたところで、米中貿易戦争に加え、香港の大規模デモの問題を抱えている中国も事件を起こせば、自分から目を逸らすことができるという見方も出来ますが、関与が露呈したときのリスクを考えると現実的ではないと思います。

最後に、アメリカ国内の対イラン強硬派にとっても、今回の事件はメリットがあったと言えます。その強硬派を支えているのはユダヤ系アメリカ人なので、実質的にはイスラエル勢力とも言えるのですが。

-犯人は誰なのか

このように見ていくと、どの国も怪しく思えてきますが、私が本命視しているのは、イラン革命防衛隊の対米強硬派説です。イランにはイラン国軍と最高指導者ハメネイ師の直轄軍であるイスラム革命防衛隊(以後:革命防衛隊)という2つの軍隊が並存しています。特に革命防衛隊はイラン政府の枠外にある組織で、アメリカがテロ組織に指定した軍隊です。

イランにはロウハニという大統領がいますが、あくまで行政の長であり、他国における首相に相当します。そのロウハニ大統領の上に国家元首である最高指導者のハメネイ師が君臨しているのがイランの政治体制です。

ロウハニ大統領は穏健派と言われていますが、同じ穏健派のザリフ外相が対米強硬派の圧力に耐え切れずに辞任に追い込まれて以降はアメリカに対しても強気な発言をせざるを得ない状況に追い込まれています。

それに対して最高指導者のハメネイ師は一貫して対米強硬派であり、今回の安倍総理との会談でも、トランプ大統領と交渉する気がないという姿勢を崩しませんでした。ロウハニ大統領とハメネイ師の間には対米関係について、大きな温度差があるということがポイントです。

つまり、日本にアメリカとの仲介をしてほしかったのはロウハニ大統領のみで、ハメネイ師は最初から日本に仲介役を望んではいなかったと思います。だからこそ、最初は安倍総理もハメネイ師とは会えず、ロウハニ大統領との会談だけになるかもしれないとの報道も出ていたのです。

実際には日本とイランの歴史的つながりの深さからハメネイ師とも会談することはできましたが、先述の通り、やはり強硬姿勢を崩さず、イランとアメリカの橋渡しとまではいきませんでした。

最初から最高指導者のハメネイ師は対米強硬路線を降りる気はなく、直轄組織の革命防衛隊は以前から対米強硬派であったことを考えれば、ハメネイ師が具体的に指示を出したかはともかく、革命防衛隊がタンカー攻撃を仕掛けた可能性が高いと思います。

アメリカが6月14日に革命防衛隊が攻撃を受けたタンカーから不発だった水雷を取り除く映像を公表していますが、これがアメリカの謀略がなくそのまま事実であれば、少なくともハメネイ師は革命防衛隊の仕業だと知っていたことになります。

まとめ:戦争の危険もある

そうなると安倍総理に話したとされる核兵器を使用する意図も保有する意図もないという発言の信憑性は低くなります。安倍総理に仲介役を依頼したトランプ大統領本人は決してイランと戦争したがっているとは思いませんが、その周りや支持者はイランを潰したいと思っている勢力がいる為、この先の展開を注目していきたいと思います。

最後に考えておきたいのは、現在のところ、イランの核兵器は完成していません。しかし、核合意をアメリカが破棄し、革命防衛隊がタンカーを攻撃し、国際秩序に挑戦を表明した以上(革命防衛隊が犯人という前提付きですが)、イランが核開発を進めることは確実でしょう。つまり、数年後の未来にはイランが核保有国となるということです。

逆に言えば、「核保有国になる前なら攻撃し易い」とアメリカとその他対イランを敵視している勢力からすれば、攻撃=戦争する動機があるということです。戦争にならないことを祈りますが、そういう恐ろしい状況に変わりつつあるということは認識しておくべきだと思います。

まだ、犯人が誰か確定していない状況ですが、このような見方もあると思います。

消費増税・国会延長・W選挙-「このまま解散なしで消費増税強行なら安倍首相はジンクスの餌食だな」

解説-いわゆる「解散風」が吹いていた永田町ですが、公明党山口代表の街頭演説で参議院選挙の日程について「(7月)21日投票になる」と発言しており、日経新聞や朝日新聞でも複数の政権幹部が明らかにした話として参議院単独で実施するというニュースが出ています。

ここにきて「解散風」は急激に止みつつあります。参議院単独になるということは消費増税も予定通りということになります。このままでは歴史上の改元時のジンクス通りになる危険性が高まります。

改元時のジンクスとは「今まで過去2回改元があったときの内閣(大正・昭和・平成)は約半年で退陣する」というものです。

-安倍総理のシナリオ

一時期は7月21日衆参ダブル選挙が有力視され、「解散風」盛り上がりながら、風が止んでいった理由は公明党にあります。

まずは、衆参ダブル選挙を行った際に安倍総理から描いていたシナリオとしては、前回の参議院では自民党が大勝した為、今回の参議院戦では議席を増やすことが難しいという現状があります。

また、参議院で自民党が議席を減らすと改憲勢力が参議院において、3分の2を割ってしまう確率が高く、安倍総理とすれば、参議院選挙で負けて憲法改正の発議が出来ない現状を逆転する為の手として、衆議院を解散してのダブル選挙のシナリオを描いていました。野党共闘が衆議院の選挙区全てで実現する可能性は低く、政党支持率を見ても自民党が圧倒している為、衆参ダブル選挙を行えば、与党が大勝する見通しは高かったと思います。

-公明党が反対する理由

しかし、公明党は以前から支持団体である創価学会がダブル選挙では十分に選挙活動が出来ないとして、ダブル選挙に反対していました。そうした中で、先日の大阪ダブル選挙と堺市長選挙で大阪維新の会が勝利しました。

公明党としては、大阪維新の会が進める大阪都構想に反対してきましたが、この選挙の結果を受けて、民意が示されたとして賛成に回っています。しかし、この裏には選挙事情が絡んでおり、公明党が大阪都構想で維新の会と何らかの合意をすることで、衆議院選挙の大阪選挙区で公明党が議席を持つ選挙区に維新の会が候補者を送り込まないという約束があると言われています。

ただし、現状では維新の会の松井代表は強気の交渉を行っており、住民投票の実施だけでなく、都構想自体にも賛成するように迫っています。まだ合意が成立していない中で、衆参ダブル選挙となれば、公明党は維新の会に刺客を送られる可能性があり、特に関西での勢いを考えれば、現状の議席を失う可能性は高い状況です。

しかも、維新の会は改憲勢力であり、条件次第では自民党と組む可能性も十分にあります。実際に大阪ダブル選挙の選挙戦での安倍総理の自民党総裁としての応援は同じ日に吉本新喜劇に参加するなど、全く熱が入っていませんでした。維新の会と敵対するつもりはないとの政治的アピールとも読めます。

こうなれば、公明党は自民党が公明党から維新の会に与党の連立パートナーを替えるつもりではないかとの疑心暗鬼にもつながります。もちろん、自民党の多くの議員が創価学会の票がなければ当選しないという現状がある以上、すぐに公明党を切り捨てることができない事情が自民党側にあることも事実です。

ですが、可能性としては有り得るということを安倍総理は維新の会の橋下元代表と食事をしたり、大阪都構想に関しては批評をしないという態度で示していると思います。

そうなると、衆議院で維新の会に議席を奪われれば、与党から滑り落ちる危険性が高まることになる公明党はダブル選挙に強く反対するということになります。だからこそ、冒頭の山口代表の勇み足とも言える参議院単独選挙の発言につながるのです。

-ダブル選挙が出来なければ、ジンクスの餌食に

ここでもう一度、安倍総理の視点に戻せば、このように連立与党の公明党が解散に反対し、自民党の衆議院議員の中にも創価学会の票がなければ当選しない議員からも解散を反対されている状況です。加えて、解散の大儀として消費減税をぶち上げられたら困る財務省も解散に反対している四面楚歌の状況です。

しかし、それを乗り越えて、解散を行い、ダブル選挙を行うことができなければ、先述の通り、参議院で現状の議席を守ることは出来ず、改憲の夢も露と消えます。そしてそのすぐ後には予定通り消費増税が実施され、日本経済は悪化していきます。

実際にこれまで消費税が増税された後は必ず景気が悪くなっています。今回も同じく景気が悪化するでしょう。加えて、米中貿易戦争やブレグジットの影響で外需の伸びも期待できない状況では、日本経済は奈落の底に落ちていくでしょう。

こうなれば、安倍総理は在任期間歴代1位ですが、憲法改正、拉致被害者の救出という本来の大志を実現させることなく改元のジンクスに負けて退陣した内閣として歴史に名を残すこととなります。

-まとめ:イラク訪問後に日本の未来を掛けた決断が迫る

安倍総理が四面楚歌の状況に負けて、解散をせずに6月26日会期末を迎えれば、自動的に7月21日に単独で参議院選挙投票という日程が確定します。逆に国会を延長すれば、衆参ダブル選挙がほぼ確定となります。

6月12日からイラン訪問を検討しており、その帰国後に解散の最終判断をすると見られています。解散をしなければ増税が決定し、改憲が遠のきます。安倍総理には総理の故郷・山口の明治維新の志士である高杉晋作の「功山寺決起」の精神で、解散を決断し、消費増税を回避してほしいと思います。

今回のジンクスという非科学的な話で閑話休題のようなエントリーになりましたが、そのジンクスにも裏側があるという見方は人とは違った見方といえるのではないでしょうか。

天安門事件・民主化-「日本はソフトパワーを使って中国の民主化を手助けする戦略をたてよう」

解説-1989年6月4日に中国で起きた民主化を求める学生を中国共産党が軍隊を使って弾圧した天安門事件から今年で30年になります。死傷者の数を含め、未だに真相解明には至っておらず、中国ではネット検索をはじめ、厳重な情報規制が敷かれ、中国の若者世代は事件自体を知らない人も増えてきていると言います。しかし、今年はこの天安門事件に関してアメリカが注目すべき発言をしています。

-アメリカはやはり対中冷戦に向かうつもり

今年で30年目を迎える天安門事件について、アメリカの国務省のオルタガス報道官が5月30日の記者会見で、「平和的に抗議をしていた人々に対する徹底した虐殺行為だった。」と指摘し、「中国共産党による構造的なおぞましい抑圧。」と発言しています。

これは大変な踏み込んだ発言で、ポイントは二つあります。一つ目は「アメリカは中国が「正当なデモの鎮圧」だとしている行為を「虐殺行為」と認定したことです。アメリカが「虐殺行為」と認定したことで、天安門事件は政治的な問題ではなく、普遍的な人権の問題として、捉えられていくことになります。

人権の問題としたことで、アメリカは国連人権委員会に議題として天安門事件を提起できるカードを得たことになります。これまでのアメリカは、中国に配慮して政治的な案件でもある天安門事件を国際機関に訴えることはありませんでしたが、現在の米中貿易戦争からのファーウェイ排除に至る一連の動きを見ても、使えるカードは何でも使ってくる可能性があります。そうしたカードの一つになる可能性を示した発言でした。

もう一つは「中国共産党による構造的な」抑圧であるとして、中国の共産党支配という政治システム自体を批判したことです。これは中国から見ると驚くべき発言です。なぜなら、アメリカが中国の現在の体制自体を批判した発言だからです。

アメリカが他国の政治体制を批判した例で思い出すのはイラクのフセイン政権です。この時もフセインは独裁者だということで、世界中にフセインの独裁ぶりをアピールし、最終的には大量破壊兵器を保有している疑いがある(結局見つかっていない)ということで、国連の決議もなしにイラク戦争を起こしたのです。

中国がこの事例を知らないわけはなく、アメリカが対峙する国の政治体制を批判するということは完全に敵国として認定していることの表れなのです。これらのことから、やはりアメリカは中国を実質的には打倒すべき体制の敵国として捉えており、米中貿易戦争は収まることなく、武力による全面戦争にまでは至らないまでも、冷戦に突入する腹積もりであると推測できます。

-中国の民主化を応援する為の日本の戦略

米中冷戦時代が見えている今、日本が取るべき戦略とは何でしょうか。まず、日本として中国という国をどう捉えるかということですが、尖閣諸島のみならず沖縄に対しても領土的野心を持つ中国は日本にとって完全に敵性国家だということです。

自民党の親中派の政治家やマスコミをはじめ、まずこの敵性国家であるという認識が薄いことが大問題なのですが、この認識を基にして対中戦略を練っていく必要があると思います。

現状として、日本とアメリカは大変強固な同盟関係を築いています。そして、そのアメリカが先述の通り、中国を敵国として体制を打倒する方向へ政策の舵を切っています。日本としては、この同盟国の動きに乗ることが日本の国益になるのは間違いありません。

具体的に日本に何ができるかを考えると、軍事面でのアメリカとの協力は憲法9条と世論を考えると難しく、経済面でも現在日本と中国が揉めている経済案件はなく、WTOのルールに縛られている以上、一方的な関税を掛けることも難しい状況です。

このように考えると日本は文化の面から中国の民主化を支えるのが一番良い戦略ではないかと思います。具体的にはアニメや漫画を使って、民主主義の要素を中国国民に浸透させるというやり方です。

以前、ニュース番組の中で、嘉悦大学教授の高橋洋一先生が面白い話をされていました。それはAKBグループの姉妹ユニットで上海を拠点に活動しているSHN48というアイドルグループがあるが(現在はAKB48から独立)、このグループもAKB48と同様にファンによる総選挙を行って、選抜を決めているということです。この選抜総選挙という仕組みで中国の国民が選挙という仕組みが面白いということに気付いてしまうのではないかと中国共産党が危惧しているという話です。

確かに、中国には現在自由選挙はありませんから、このSHN48の総選挙によって特に若者たちが選挙制度というものを考えるきっかけになっているとしたら、中国の未来の民主化に日本の文化が貢献したと言えます。このような事例を日本の得意なソフトパワーであるアニメや漫画でも作れないかと思うのです。

まとめ:日本はずる賢い戦略を

アニメや漫画の中に民主主義や人権といったことを意識させる描写や表現を入れたものを中国に輸出することは、時間はかかりますが、未来の中国の民主化を手助けすることになると思います。政府はもちろん公表する必要はありませんが、このような作品を作らせて流行らせるといった仕掛けをこっそり行うべきです。

日本はスパイ防止法もなく、スパイの天国と言われています。逆に言えば、日本以外の国は当然スパイを活用しているのです。アメリカのCIAのように非合法な手段まで使うスパイ活動を行う必要はありませんが、日本も国益を追求するためには使えるものは全て使うという姿勢でいるべきだと思います。

その一環として、日本のソフトパワーを使った中国の民主化の手助けは良い戦略になるのではないかと思うのです。これもまた、人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。