韓国ホワイト国除外・半導体・米中戦争-「これは米国のサプライチェーン引き剥がしの大戦略の一部だからね」

解説:8月2日の閣議決定により、韓国をホワイト国から除外することになりました。これは、韓国側の戦略物資の管理が信頼できない為、安全保障上の理由で優遇を止めるだけのもので、WTO違反でもなければ、輸出規制でもなく、今後も他のアジアの国と同様の手続きを行えば、同じように輸出ができます。

にも関わらず、韓国側は感情的な反発を強めており、日本に対する対抗措置を示唆する発言が多く出てきます。また、同盟国であるアメリカへ仲裁を求める動きも継続しています。 しかし、G20直後からこれらの動きが始まっていることを考えると、日本側は当然アメリカに了承を取っていると考えるのが普通ですし、実際にアメリカは仲裁の姿勢を見せていません。それどころか私は、今回の日本の韓国をホワイト国から除外する措置はアメリカの大戦略の一部ではないかと思っています。

-アメリカは韓国を無視している

日本と韓国は直接同盟関係ではありませんが、どちらもアメリカと同盟国である為、アメリカはこれまで、日韓の問題に同盟国として度々口を出してきていました。直近でも、いわゆる従軍慰安婦に関する日韓合意の際も、日韓関係が悪化していた中で、アメリカの仲介で合意がなされたという前例があります。

戦後からこれまで、対北朝鮮に対峙する中でアメリカにとっては、空・海軍の基地がある日本と陸軍の基地がある韓国のいいずれも戦略上重要であり、日韓関係が悪化することは、アメリカの軍の陸・海・空が連携して運用される為に避けなくてはならないことでありました。その為、日韓関係が悪化する度にアメリカが介入し、日韓関係が決定的に悪化しないようにしてきました。

それが今回、日韓関係が決定的に悪化するホワイト国からの除外を日本が決定することに対して、仲介をしなかったということは、これまでのアメリカと異なる姿勢です。 この背景にあるのは、アメリカのトランプ大統領が韓国を必要としないという大戦略の転換を行ったからです。原因はトランプ大統領と金正恩委員長が直接対話できるようになったことです。

第一回の米朝首脳会談から始まり、最近ではG20後の電撃的な会談を行うなど、トランプ大統領は韓国に仲介を頼むことなく、独自で金正恩委員長と関係を作りあげることに成功しました。このことにより、韓国は北朝鮮の仲介者としての役割が限りなく小さくなりました。

加えて、文在寅大統領は明らかに北朝鮮に傾斜しています。南北首脳会談により、北朝鮮に対する軍事的は圧力を一方的に弱めた他、人道支援や北朝鮮と共同事業を行ってきた開城工業団地の再開を働きかけるなど、アメリカをはじめ国際社会が北朝鮮制裁を維持している網に穴を開けようとする行為を繰り返してきました。

現状では、アメリカにとって北朝鮮に肩入れを続ける韓国は、北朝鮮と交渉をする為に必要どころか邪魔な存在となっています。だからこそ、アメリカは韓国を無視に近い対応に終始し、その一例が前回の2分とも言われる短すぎる米韓首脳会談だったと言えます。

この流れの延長線上に、今回の日本の韓国ホワイト国除外に介入しないというアメリカの対応があると考えられます。そうであるとすれば、この先もアメリカは日韓関係に仲介することはないと言えます。現在、日韓のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を韓国が日本への交渉カードに使っていますが、この韓国の脅しに対してどこまでアメリカが本気で待ったを掛けるかがポイントになると思います。

これまでの日米韓という枠組みから韓国が抜けようとする動きに対して、アメリカが本気で止める気がなければ、アメリカが韓国をレッドチーム(敵側)と見なしたことは確実となり、今後は在韓米軍の撤退、米韓同盟の解消へと進んでいくのではないかと見ています。

-トランプ大統領のサプライチェーン剥がし戦略

日本が韓国に対し、7月1日にフッ化水素をはじめとした戦略物資の輸出管理の厳格化を決めてから、今回のホワイト国からの除外の背後で、半導体業界に動きがありました。マイクロンメモリージャパンは6月に広島工場に新棟を完成させ、東芝メモリは7月に新工場の起工式を行っています。

これはどちらも、韓国のホワイト国除外後の動きを睨んだ投資であり、このタイミングでの動きは、日米で話し合いができていて、両国の半導体関連の企業には、今回の韓国の輸出管理の厳格化やホワイト国除外は通知されていたという傍証になると言えます。

アメリカのファーウェイ排除と米中貿易戦争と今回の日本の韓国に対するホワイト国除外には大きな隠れた狙いがあります。それは、いずれも半導体産業のサプライチェーンを強引に引き剥がすという狙いです。

半導体分野は今後のIOTやAIの時代の核となる技術です。中国はファーウェイをはじめとした国策企業が技術を盗むことによってこの分野で急激な発展を遂げ、世界シェアでも特許申請数でもアメリカの脅威となってきました。

そして、これらの半導体分野はそのまま軍事技術にも転用可能であり、次世代の軍事力に直結する技術であると言えます。また、中国はグローバル化された世界の中で、当初は安い労働力によって、直近では技術力と価格によって、アメリカも含めた世界中にサプライチェーンを相互に張り巡らせることに成功してきました。

こうなると各企業は中国との関係を断ち切ることがビジネスにとってマイナスになる為、各国政府が中国と切りたくても切れないという状況になります。この戦略は見事で、実際にオバマ大統領の時代から、南シナ海、東シナ海を中心に中国の海洋拡張や軍事力の増強は国際法・秩序の破壊を伴う、次の世界覇権への挑戦であることは明らかでしたが、それでも、先進各国の首脳は中国に強い対応をとることはできませんでした。

これを打ち破ったのがトランプ大統領です。パリ協定やTPPからの離脱など、これまでの利害調整型の政治家にはない圧倒的な個性を世界中に認知させたことにより、本来はWTO違反の疑いもある対中貿易戦争に打って出て、中国の世界覇権阻止に動いたのです。

具体的には、ファーウェイをはじめとする中国のハイテク企業へ技術流出を食い止める為にECRA(米国輸出管理法)を制定し、また、WTO違反の疑いもある中国輸入品に対する関税の引き上げによって、中国の覇権阻止へ動いたのです。ある意味、中国の国際法・国際秩序無視には、トランプ大統領というアメリカファーストという目標に一直線に突き進める強烈な個性がなければ、中国の覇権は完成していたのかもしれません。

しかし、トランプ大統領により、引き剥がせないように中国が作り上げたサプライチェーンは引き剥がされる予兆が見えてきました。半導体分野ももちろんECRAの14項目に大きく関連しています。それだけ重要な分野のシェアの多くを今にもレッドチームに行きそうな韓国に握られたままで良いのかという話になります。

これまでであれば、米韓同盟は強固であり、韓国は共産主義の防波堤として、重要な地政学的地位にありました。しかし、冷戦が終わり、朴政権時には中国の軍事パレードにも参加し、現在は北朝鮮制裁に穴を開けようとする文大統領を抱える韓国は、米軍にとってレッドチーム(中国側)と判断されたのではないでしょうか。

まとめ:韓国の運命の日は8月24日

韓国がレッドチームと認定された以上、韓国企業が持つECRAの14項目に大きく関連する半導体分野の供給シェアを落とすことがアメリカの戦略に沿うことになります。ホワイト国除外決定以降、韓国はウォン安が進んでおり、株価も下落傾向にあります。実際にホワイト国除外が実施されれば、既に停滞している韓国経済の更なる悪化が見込まれます。

アメリカとしては、韓国を中国と同一視する戦略へと切り替わっているので、韓国の半導体分野のサプライチェーンは引き剥がされ、日本、アメリカ、EU、東南アジア諸国へと付け替えられることになるでしょう。

これがアメリカの国益になると判断しているのですから、韓国がいくらアメリカに仲裁を申し入れても、社交辞令以上の回答が出てくる可能性はないと言えます。とはいえ、本当にアメリカが韓国をレッドチームとして切り捨てるかどうかは、韓国が日本への対抗カードに使っているGSOMIAの破棄をアメリカが止めるかどうかにかかっています。GSOMIAの延長期限は1年で、期限の90日前までにどちらかが破棄を通告しなければ、自動延長する仕組みですが、90日前が8月24日に当たります。

この日までにアメリカが韓国を止めるのか、それとも韓国の暴走を許すのかで、今後の韓国の未来が見えてくるのではないでしょうか。このような韓国の見方も人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。