「金正恩委員長は死亡しているかも?」-北朝鮮・金平一

解説-北朝鮮の金正恩委員長が死亡している可能性が出てきています。最近、北朝鮮では異例な事がいくつか起こっており、それらを総合してみてみると、金正恩委員長が死亡し、権力の移譲が行われている可能性があるのです。

もし、これが事実なら、今年の北朝鮮情勢は大きく動く可能性があります。拉致問題に関しても新しい動きがある年になるかもしれません。

-北朝鮮三つの異変

一つ目の異変は、2019年末に行われた朝鮮労働党中央委員会総会が四日間も開催されたことです。北朝鮮のような独裁体制の国家では、総会は形式的なものに過ぎず、独裁者が決めたことを承認するだけの儀式なので、通常は一日で終わるものです。

それが、特に年末は一年の総括を行う時期で、そのような忙しい時期に形式的な儀式を四日連続で実施するのは、異例のことです。これは、独裁者が不在だったので、いつもの儀式ではなく、実際に方針を決める必要があったから、四日間も開催されたのではないかと見ることができます。

二つ目の異変は、新年の辞の挨拶がなかったことです。北朝鮮では正月に金正恩委員長が発表する新年の辞を暗記するというイベントがあり、幹部によるテストが行われてきました。北朝鮮住民にとっては正月のつらいイベントだったのですが、今年は新年の辞が見送られました。

これまで7年連続行われてきた新年の辞を見送るというのは、これも大きな異変と言えます。テレビに出ることができない状況であるのかもしれないという見方もできます。

三つ目の異変は、金正恩委員長の叔父である金平一氏が北朝鮮に帰国したことです。金平一氏は故・金正日氏の異母弟で、金正日氏との後継者レースに敗れ、ハンガリー大使に就任して以来、ヨーロッパの大使を複数務めてきた人物です。

当時から、独裁者に暗殺されないように、目立つ動きや発言は全く行っていませんし、金正日氏の後を金正恩氏が権力の座に就いた後も、恭順を示し続けてきた人物です。金正男氏が暗殺された当時は、血統を消す目的で金正男氏が暗殺されたのであれば、次は金平一氏が狙われるのではないかという声がでましたが、当時就任していたチェコ大使館と官邸だけを行き来し、誰とも接触せず、金正恩委員長に恭順を示し続けてきたことで、今日まで命を長らえてきました。

この帰国のニュースの後、金平一氏は後継者レースに敗れて以降、31年間も北朝鮮国外にいたので、国内に支持者がいる可能性は低く、今の政権を脅かす要素がない上に、逆に海外に置いておくことで、反対勢力が金平一氏を担ぐリスクの方が大きいと判断した為、今回の帰国が実現したのだろうという見方がありました。

確かに、表向きはそうかもしれませんが、私は今回の帰国は家族を伴って帰国していることに注目します。これは、本人だけでなく、家族の命も補償しますという約束があっての帰国であることを意味するからです。 今後は北朝鮮国外に家族を逃がしたり、逃げる必要がない立場になる、つまり金平一氏の政権入りを意味しているのではないかと思います。ここにきて、叔父である金平一氏を政権に迎えなくてはならない理由が出てきたということです。

その理由は何かと言えば、金正恩委員長から権力が移譲される事態が起こっている可能性があるということです。つまり、金正恩委員長が死亡している可能性があるのではないかと考えます。以前から、太りすぎや酒の飲みすぎで、糖尿病であることは何度も報じられていましたが、病気の悪化で死亡した可能性は十分にあると思います。

-後継者は妹の与正氏か?

もし、金正恩委員長が死亡しているとすれば、後継者は誰になるのか。まず、北朝鮮の指導者になるには一つのルールがあります。それは「白頭の血統」を継いでいることです。 「白頭の血統」とは北朝鮮建国「神話」の祖である金日成の血統を継いでいるものでないと指導者にはなれないのです。

つまり、金一族でないと指導者になる資格がないのです。金正恩委員長にはまだ権力を移譲できる子供はいません(3人の子供がいるという話はありますが、まだ幼いと見られます)。そうなると、後継者として有力になってくるのが、妹の与正氏です。

与正氏は2019年の12月に軍に女性軍人への配慮を指示する号令を直接かけたと言われています。これまで、宣伝扇動部にいるとされてきた彼女が軍に号令を出すことは越権行為であり、異動が行われた可能性があります。

与正氏の目に見える失政がないことを考えると、異動は栄転である可能性が高く、宣伝扇動部より上位の異動先は党組織指導部しかありません。党組織指導部は北朝鮮の政務と人事を一手に掌握する機関であり、党組織指導部長は北朝鮮最強の官僚ポストと言われています。

また、昨年の6月に韓国の東亜日報が「金与正氏、指導者クラスに格上げ」というニュースを報じたことと合わせると、金与正氏が後継者として仕事ができる体制は整っていると言えます。

金平一氏はこの金与正氏政権を支えさせるために、帰国したのではないでしょうか。特にこれから権力基盤固めをする中で、謀反の疑いが少ない親族で権力を固める際に、北朝鮮国内に背景が居ない親族である金平一氏は良いピースになると考えた可能性があります。

まとめ:今年は北朝鮮情勢が大きく動く可能性も

これまで、金正恩委員長死亡の可能性を見てきましたが、北朝鮮という国は情報が出てこないため、この見方もあくまで推測にすぎません。ただ、三つの異変を見ていくと、死亡しているという可能性もあるのではないかと私は考えます。

「指導者が不在で、上に報告が挙げられないから、北朝鮮はアメリカの交渉で妥協できず、強硬に出ざるを得ないのではないか。上からの指示が出ないと、現場は勝手に妥協できないから、交渉は自然と強硬になるものだ」(趣旨)という嘉悦大学教授の高橋洋一先生の意見も傾聴に値する傍証だと思います。

金正恩委員長が表舞台に出てこない状況がいつまで続くのかはわかりませんが、もし無事に姿を現したとしても、今後、三つ目の異変である金平一氏の帰国後の処遇から、今後の北朝鮮の進む方向性を見いだせるのではないかと思います。

今回は、かなり思い切った推測を含めた「見方」でしたが、皆さんはどうお考えでしょうか。

「野党はマスコミと組んで、国会を止めることが目的ではないか」-桜を見る会

解説-国会では総理主催の桜を見る会についての野党とマスコミの追及が止まりません。確かに、参加者の選定に不透明感がありますし、前夜祭で不当なお金の流れがあるのであれば、政治資金規正法にも引っかかる問題です。

しかし、追及する野党側も民主党政権時には同じ会を当時の総理主催で開催していた事実があります。この点を考えると、この問題を追及していっても野党にブーメランとして反ってくるだけのように思います。

それでもマスコミも一緒になって、金額のインパクトも薄いスキャンダルを騒ぎ立てるのは、野党とマスコミが憲法改正論議から国民の目をそらしたいからではないかと私は見ています。

-都合の悪い情報を出さない手口

「桜を見る会」の問題は最初、公費の私物化として始まりましたが、鳩山政権下でも行われていたというブーメランがさく裂すると、ホテルニューオータニで行われた前夜祭が不当に安かったという点に論点が移っています。

ホテルは野党の問い合わせに「立食で11000円」と回答したのに、5000円で開催したのはおかしく、差額を安倍事務所が補てんしたのではないかというのです。また、野党は安倍事務所の政治資金収支報告書に記載がないことがおかしく、疑惑は深まったとして、国会での説明を求めています。

まず、ホテルの立食パーティの金額について言えば、人数やシーズンによって、ホテルが金額を変えてくるのは常識だと思います。年末年始やGWなどの繁忙期にはホテルの宿泊代が、通常の値段の何倍にもなることは国民の誰もが知ることです。

逆に、ホテルでパーティを行う時に、人数が多く、参加者のほとんどが自分のホテルに宿泊するとなれば、料理の量を減らす等の交渉次第でパーティ価格が通常価格より下がることもあり得ると考えるのが普通ではないでしょうか。またツイッターではこの前夜祭に参加した人から、ぼったくりと思うくらいに料理の量が少なかったという話も出ています。久兵衛の寿司が出たとの話もありましたが、これも完全に誤報なようです。

いずれにしても、公共料金ではないのですから、ホテルがその時の人数や料理の内容によって通常より安い5000円で提供したからといって、何の問題もないですし、このことを騒ぐことで、ホテル側に迷惑がかかります。実際にホテルニューオータニには「安倍総理が5000円でパーティしたのだから、自分も5000円でパーティさせろ」といった電話が来ているという話もあります。

また、政治資金収支報告書への記載の問題も、この件が旅行会社に委託されていた点を敢えて野党とマスコミは無視しています。旅行会社と参加者との間の金銭のやりとりだけで完結し、安倍事務所側が金銭のやりとりに関与していないのであれば、政治資金収支報告書に載せようがないのです。

このように、野党とマスコミは国民が知るべき情報を意図的に隠して、疑惑が深まったという印象操作をしているように思います。今の時代はネットですぐに真実が追及されるにも関わらず、このようなスキャンダルで騒いで、問題化し、国会でも追及するとしている野党には、別の目的があるとしか思えません。

-野党とマスコミは国会を動かしたくない。

私は野党とマスコミはスキャンダルで国会を空転させること自体が目的ではないかと思い始めています。

世界情勢に目を向けると、韓国のGSOMIA破棄は決定的で、韓国が日米韓の安全保障体制から抜けてしまう公算が強まっています。その行きつく先は、米韓同盟の破棄となるでしょう。日本は東アジアの紛争の最前線に立たされる危機が迫っています。

また、トランプ大統領はアメリカ軍と共にIS殲滅に力を尽くしたクルド人を見捨てる形で、シリア北部から米軍を撤退させた結果、トルコの侵攻を招きました。イランが背後にいるとみられるサウジアラビアの油田攻撃に対しても、イランに具体的な対抗措置を取っていません。これにより、アメリカは本当に自国第一主義を徹底していくつもりで、同盟国に対する敵対国の攻撃に報復をしなくなるのではないかという疑念が出てきています。つまり、敗戦後に国民の多くが平和憲法の下で何となく思っていた「他国が攻めてきたら、米国が守ってくれる」という前提が根本からひっくり返る事態が起きつつあるのです。

このような国際情勢とその対策こそ、国会で議論するべき案件です。これを議論すると、危機的な国際状況が迫っている中で現状の憲法を改正しなくてよいのかという議論が出てくることは確実です。実際に前回の参議院選挙後に安倍総理は憲法改正に向けて具体的に議論を進めていくと明言しています。

私は憲法改正に向けた議論が進んでほしくない野党とマスコミが、桜を見る会のような自身が政権を取った時も中止しなかったブーメラン案件でも、疑惑があるように追及し、話題を作っているように思います。

だからこそ、この問題は論点を変えて、延々と続いていくことが予想されますし、国民が飽きてくると、次の些末な疑惑が生み出され、同じような騒ぎが繰り返されると思います。それに引っかかる国民もネットの登場で徐々に少なくなっていますが、どのような形でも与党を追求していること野党が好きな支持者も一定数いるので、その一定数の支持者の為に野党は政治パフォーマンスをやっているとも言えます。

まとめ-対案の出せない野党は淘汰されるように、国民が賢くなるべき

モリカケに始まり、今回の桜を見る会と数々の疑惑が追及されてきましたが、今回も含めて、政権の崩壊には至りません。それどころか、内閣支持率も高止まりし、国政選挙は与党の連勝が続いています。

つまり、野党の戦略は明らかに失敗しているのです。国民は疑惑を騒ぎ立てる野党ではなく、対案を出せる野党を望んでいると思います。だからこそ、前回の参議院選挙では今回の桜を見る会の疑惑追及とは距離を置く維新の会が議席を伸ばしています。維新の会は自民党案に反対ばかりの立憲民主党や国民民主党とは一線を画し、対案と法案修正を行っています。そうした地道な活動を支持する国民がいたからこそ、マスコミで目立たなくても、議席を増やしているのです。

こうしたまともに対案を出せる野党を育てることこそ、国民にとっての利益になります。現状では野党勢力がスキャンダル追及しかしないため、野党に政権を取らせるという選択肢がイメージできず、与党の圧勝が続いています。

敵が弱ければ、与党は腐敗します。抵抗勢力や既得権者を打倒するモチベーションも低下します。その結果が、今回の消費増税の実施なのです。決まった増税であっても、有権者の反発を受け、選挙に負けてしまう可能性が高ければ、消費増税を中止するという声も党内で大きくなったはずです。

それが野党勢力のこの体たらくでは、財務省の恨みを買う消費増税中止に動かなくても、選挙も勝てそうという判断が働いたからこそ、世界経済の減速が見えてきている中で、予定通りの増税が行われてしまう結果につながっているのです。

いつでも政権交代が起きるという緊張感を与党に与えることが、国民の為の政治をさせる原動力になります。その為には、スキャンダル追及ではなく、戦略を持ち、対案を出せる野党勢力が力を持つことが必要です。私たち国民が安易にスキャンダルに食いついき続ければ、野党もスキャンダルばかりを追求して得点を狙います。私たち国民こそが賢くなり、国民と国益のために与党を追及し、対案を出せる野党を応援していくことが大事だと思います。

「解散権がないことがイギリスを追い込んでるんだよ」-ブレグジット

解説:イギリスのEU離脱の混乱が収束しません。今月、ジョンソン首相がEUをまとめた合意案が18日にイギリス議会で否決され、今月末に離脱に期限を迎える中で、また振り出しに戻ってしまいました。

前メイ首相の時から、首相がEU相手にまとめてきた離脱案を議会が否決することが繰り返されています。この混乱の原因について、私の見方はイギリスでは首相に解散権がないからだと考えます。この視点で論じる日本のメディアが少なすぎると思います。

-解散権とはどのように行使されるか

2010年のイギリス総選挙でどの政党も過半数を取ることができない事態が発生しました。こうなると、複数の政党が連立を組んで、過半数を得るしかありません。その際に、保守党が自由民主党と連立を組む為に、自由民主党側が要求した議会任期固定法を制定します。

この法律は、内閣不信任決議に対する解散権行使か、下院の3分の2以上の賛成による自主解散によってしか、議会が解散されないことを定めるものです。つまり、首相の解散権を事実上、取り上げるものです。

これにより、イギリスの首相は解散権を行使できない状態になりました。議会の多数派が首相の政策に全て賛成してくれるのであれば、問題は起きません。首相は議会の多数派の指名によって、選出されるからです。

しかし、EU離脱のように多数派内でも賛否が分かれるような事案になると、議会の多数派の同意を得ることができなくなります。日本で言えば、小泉純一郎元首相の時の郵政民営化法案の時を思い出して頂けると近い事例かと思います。

郵政民営化法案の時は議会の多数派である自民党の中で、多くの反対議員がいて、自民党内をまとめることができず、参議院で法案が否決されるに至りました。そこで、小泉元首相は衆議院を解散して、郵政民営化を争点として、総選挙を行いました。その結果、自民党が大勝し、民意を得たことで、反対派だった議員も賛成に転じ、郵政民営化法案は議会の賛成多数を持って成立しました。

郵政民営化や小泉元首相の「郵政解散」についての是非は今回論じませんが、この例では首相の進めたい政策に対して、議会の反対にあって、政策が停滞したときに、首相が解散権を行使しました。そして、選挙によって民意が示された結果、議会も民意を受けて賛成にまわり、議会として法案を可決したという流れです。

このように解散権があれば、首相が進めたい政策に対して、議会が反対した際に、議会を解散して民意を問うことが出来ます。それがイギリスでは、この首相の解散権がない為に、今回のような混乱が続いているのです。

-解散権の制限は主権者を見下す行為

日本では、この解散権について、前回と前々回の衆議院選挙の際に、多くの批判にさらされました。「大儀がない」、「野党の準備不足と狙ったものだ」、「イギリスは解散権に制限をかけているのに日本はおかしい」などの批判がありました。

しかし、今回のイギリスのEU離脱についての堂々巡りを見ると、首相に解散権がないということは、これだけ政治を停滞させるという見本になっています。内政に関するものであれば、影響は国内のみで収まりますが、ブレグジットのように他国が絡む外交の問題についても、首相が多国間で合意したことを議会が否定し続け、その議会を解散する手段がないので、また再交渉と繰り返せば、国際社会からの信頼も失ってしまうことになります。

そもそも、解散権を行使して、総選挙を行うということは、国民が選挙を通じて、主権を行使する機会を得るという見方もできるのです。この視点を無視して、解散権が自分の権力強化に利用する為にあるかのように論じるのは、主権者である国民が時の権力者に有利な投票しかしないと決めつけて、主権者を見下している議論だと思います。

むしろ、解散権がないことで、イギリスは国民がEU離脱に関して、主権を行使する機会を奪われているのが現状です。そして、合意なき離脱の期限が迫っており、首相も国民も手の打ちようがなくなっています。

まとめ:事実を知って国民で考えよう

この状況を三権分立に沿って考えてみます。(今回関係の無い司法は除く)国会、内閣、司法の三権分立において、議会は内閣に対して、総理大臣の指名と内閣不信任案の決議権を持っています。内閣は国会に対して、国会の召集と議会の解散権を持つことになっています。

現在のイギリスでも内閣は国会に対してこの二つの権限を持ってはいます。ですが、議会の解散権は、内閣不信任決議に対する解散権行使か、下院の3分の2以上の賛成による自主解散によってしか行使されなくなっています。内閣が内閣のみの判断で議会を解散させることができないのです。

このように考えますと、イギリスでは解散権が首相=内閣に実質的にないことによって、一方で議会の権限が圧倒的に強化されており、三権分立が成立できていないのではないかという現実が見えてきます。

このイギリスの状況は同じ議員内閣制の日本が勉強できる事案です。それにも関わらず、日本のマスコミはイギリスの首相と議会との対立のみにフォーカスし、首相の解散権がないことが根本原因であることに言及しません。

前回、前々回の安倍首相が解散権を行使したことに対しては、マスコミや立憲民主党をはじめとする野党は、「解散権を制限しろ」、「解散権を制限しているイギリスは進んでいる」と批判していたにも関わらず、今回、イギリスが「解散権を制限しているからこそ」起こっている政治の停滞については、表面上の報道しかしません。

このダブルスタンダードの姿勢こそが、マスコミや野党勢力が信用されない原因だと思います。そして、そういう報道しか見てない人たちにこそ、こうした政治現象の背景を知ってもらい、日本はどうしていけばいいかを考える人が増えてほしいのです。

単純な表面のイギリスの首相と議会の対立というだけでなく、どうして対立が起こり、どうして解決しないのかという原因には「首相の解散権」という日本の政治制度にも関係する要素が潜んでいるという見方も、人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。

「結局、原因の種を植えたのはアメリカなんだね」ートルコシリア侵攻

解説-10月9日、トルコ軍はシリア北部の少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)の支配地域に対して、越境攻撃を開始しました。YPGはトルコ国内のクルド人の反政府武装組織「クルド労働者党」(PKK)とつながりがある為、YPGをテロリストと認定し、エルドアン大統領は「トルコに対するテロの脅威を排除するのが目的だ」と表明しています。

私は攻撃を仕掛けるトルコが悪いとか、トルコ国内の武装組織とつながりがある為、クルド人が攻撃されても仕方がないという見方ではなく、元をたどればアメリカのせいではないかという見方をします。

-トルコはNATOの一員。西側陣営のはずだが?

NATO(北大西洋条約機構)はアメリカを中心とした西側諸国がソ連(東側諸国)を中心に作られたワルシャワ条約機構に対抗して作られた多国間軍事同盟です。1949年に発足していますが、55年のドイツの加入よりも先の53年にトルコはNATOに加盟しています。

NATOは域内いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦する集団的自衛権発動の義務を負っています。このNATOが冷戦において果たした役割は大きく、同盟国内で軍事情報や核兵器までも共有することで、東側陣営に圧力をかけ続け、最終的にはソ連の崩壊まで追い込み、西側陣営の勝利に貢献しました。

トルコはそのNATOに早期から加入していた自由主義陣営=西側陣営の国です。そのトルコがエルドアン大統領の就任後は急速に独裁色を強めていきました。同時に、アメリカから離れ、ロシアに接近する動きを強めています。

-IS殲滅とクルド人

トルコのロシア接近にはシリアの内戦とIS(イスラム国)が大きく関わっています。2011年にチュニジアで起きたジャスミン革命を発端とする民主化運動の「アラブの春」に触発されたシリア国民が民主化を求め、アサド大統領はこれを弾圧します。これがエスカレートし、アサド政権と反体制派によるシリア内戦が勃発します。

アメリカを中心とした欧米諸国はシリアのアサド大統領に対して、民主化運動を弾圧し、反体制派に化学兵器を使用した疑惑などから、退陣を要求してきました。これに対して、中東に影響力を強めたいロシアは内戦時からアサド大統領支持を鮮明にしてきました。

民主化運動後の内戦では絶体絶命まで追い込まれたアサド政権でしたが、IS(イスラム国)の台頭により、命拾いをします。テロ組織にも関わらず、国を作ろうと画策したISはシリア領内に支配地域を広げていきました。また、その支配地域では人権無視の残虐行為が行われていることが明らかになっていきます。

ISは国際社会の絶対的な敵になり、国際社会が団結してISを壊滅させることが至上命題というコンセンサスが形成されていきます。その後、アメリカとロシアを中心として、IS壊滅作戦を実行していきます。当然、シリアの内戦はアサド政権、反体制派の間で継続されていましたので、シリア国内で、IS、アサド政権、反体制派の三つ巴の展開となってしまいます。

IS壊滅が最優先課題となってしまったことが、アサド政権の息を吹き返させることにつながってしまいます。IS殲滅の為という理由がロシアにシリア領内の軍事展開する口実となってしまったのです。

これに対して、アメリカは反体制派を支援する形で、IS殲滅を目指しました。しかし、アメリカはここで今回のトルコの越境戦争につながる失敗を犯します。シリア領内にいた「国を持たない最大の民族」と言われるクルド人民兵組織YPGを連携相手に選び、武器供与や軍事訓練を行い、ISとの地上戦を行ったのです。

結果としてISは壊滅しましたが、ロシアの支援を受けたアサド大統領は支配地域を広げ、反体制派の勢力は大きく減少しました。また、YPGの活躍もあり、トルコとの国境を接するシリア北部には、アメリカ軍が駐留する実質的なクルド人の自治区ができました。

実は、当時のオバマ大統領が地上軍を送ることができず、地上軍を事実上、「人民防衛隊」(YPG)に委任し、武器を渡してしまったことが、今回のトルコのシリア北部への越境戦争につながっているのです。

-トルコの視点に立てば・・・

この状況をトルコの視点に立つと、自国とシリアの国境に自国内の分離独立を目指すクルド人反政府武装組織「クルド労働者党」(PKK)と同じクルド人でつながりがある「人民防衛隊」(YPG)が存在しているのは、国防上の脅威です。

また、シリア内戦による難民の流入も止まりません。エルドアン大統領もEUが軍事攻撃を「占領」と呼ぶなら、数百万人の難民を送り込むと発言しています。EUへの難民流入を塞ぐ役割を押し付けておいて、エルドアン大統領が敵だと見なしているクルド人に肩入れするアメリカやEUに対する怒りも理解できる部分はあるのです。

結果的にとは言え、国内で手を焼いているPKKにつながっているシリアのクルド人に武器を供与し、国防上の脅威を増幅させてしまったアメリカに不信感を抱くことも理解できます。

トルコにとってみれば、シリア北部の国境沿いにクルド人の国家が出来てしまうことは何としても避けたい事態です。「敵の敵は味方」と考えれば、シリアのアサド大統領はクルド人を挟み打ちする上で、戦略上仲良くすべき相手となります。同じくその後ろ盾であるロシアも同様です。

だからこそ、2015年にはトルコ領内でロシア軍機が撃墜された後、悪化していた両国がいつの間にかガスパイプラインを繋ぎ、最新鋭地対空ミサイルを購入するまで接近しているのです。

まとめ:アメリカが紛争の種を蒔いて育てている

NATOの一員でありながら、武器をアメリカの潜在的な敵国であるロシアから購入するというトルコの行動は、本来であれば、アメリカが激怒してもおかしくないことです。しかし、トランプ大統領はオバマ前大統領のせいだと非難はしたものの、現実的にトルコに対して具体策を講じていません。

それどころか、今回のトルコから攻撃されているシリア北部でも、米軍が撤退すれば、トルコが軍事作戦を実施する兆候があったにも関わらず、撤退してしまいました。案の定、その翌日にトルコは越境攻撃を開始しています。

結果として、オバマ大統領の米陸軍を送らず、地上戦をクルド人に任せたという優柔不断さが、クルド人が武器を持つことになり、トルコの脅威と見なされました。また、トランプ大統領は「自国ファースト」を貫く為、そのIS殲滅に貢献したクルド人を見殺しにする形で、シリア北部から米軍を撤退し、トルコ軍の攻撃を招いた形です。

このように考えると、攻撃しているトルコも攻撃を受けているクルド人もどちらもアメリカの被害者とも見えてきます。当事者ばかりに目を奪われず、背後や歴史を見てみるという見方も人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。

「ボルトン氏の解任後、米国は米韓同盟を破棄し、北朝鮮と組む気なのかも」

解説-ボルトン大統領補佐官の電撃解任が発表され、その直後にサウジアラビアの石油関連施設が攻撃され、トランプ大統領はイランが関与しているとして、新たな制裁を検討しています。一気に中東情勢が動き出す気配がある中で、東アジア情勢も大きく変化していくと見ています。

-東アジアの変化

現在の東アジアは、近年にない大きな変化の兆しが見られます。一つは冷戦終結後の2000年台から中国が経済的に急速に台頭し、米国の世界覇権に挑戦していることです。それに対して、ようやくアメリカが中国の危険性に気が付き、対抗していこうとしているのが、現在の米中貿易戦争の本質です。

また、もう一つは朝鮮半島では親北の文在寅大統領により、韓国が北朝鮮へ傾斜していることです。親北どころではなく、従北もしくは北朝鮮の朝鮮労働党の秘密党員ではないかとの疑惑まで出ている文在寅大統領により、日韓・米韓関係も音を立てて崩れつつあります。

具体的に日韓間では自衛隊機へのレーダー照射事件、天皇陛下謝罪発言、自称徴用工判決が立て続けに起きました。現在は日本の輸出管理強化に伴う韓国のホワイト国除外に対して、韓国側も対抗して日本をホワイト国から外し、WTOに日本を訴えるといったように、日韓関係は戦後最悪レベルにまで冷え切っています。

米韓関係では日韓のGSOMIAの破棄により、日米韓で協力して北朝鮮に対抗していくという枠組みを韓国が一方的に破壊したことが象徴するように、米韓の同盟関係を破壊する動きが相次いでいます。例えば、在韓米軍の司令部がソウルから平沢(ピョンテク)に移転され、米韓合同軍事演習の規模が縮小され、大統領・統一外交安保特別補佐官の文正仁(ムン・ジョンイン)が「南北関係で最大の障害物は、国連軍司令部」と発言していることです。

国連軍司令部とは当然在韓・在日米軍のことです。同盟国のことを政府の人間が「障害物」と表現することは、大変な失言ですが、その後韓国内で特に処分されていないことを見ると、現在の文在寅政権の総意なのでしょう。

つまり、現在の文在寅政権は米韓同盟を必要としていないようです。このような韓国側の姿勢に対して、アメリカ側も米韓同盟は解消に向かうのではないかという声が出てきています。

アメリカの専門家からは韓国は歴史的に見て中国の属国だったという視点から、中国が韓国を引き剥がしにかかれば、米韓同盟の維持は難しい(CSIS(戦略国際問題研究所)のMichael Green副所長)との意見や、在韓米軍が地政学的な見地から韓国から撤退しないと思い込んで、反米を続けていると、フィリピンのように撤退することがあるとの懸念を示す意見(スタンフォード大学のシン・ギウク教授)が出てきています。

-米韓同盟の破棄を北朝鮮との取引材料に

そもそも、米韓同盟は冷戦時の主敵であるソ連に対抗する為に必要とされたものであり、ソ連が崩壊し、アメリカの主敵が中国へと替わったという状況を考える必要があります。アメリカからすれば、新たな主敵である中国に対しても韓国がアメリカと同じように対峙していく気がないのであれば、米韓同盟の存在意義は疑われて当然です。

実際に韓国はアメリカが中国包囲網の為の「インド太平洋戦略」に加わろうとしていません。そうなりますと、現在の米韓同盟は対北朝鮮と対峙する為だけにあるのが現状です。もちろん、北朝鮮のアメリカまで届く長距離弾道ミサイルと核兵器はアメリカの脅威です。それらの監視の為に在韓米軍が北朝鮮の隣の韓国に居ることはとても意味があります。

しかし、逆に言えば、北朝鮮の長距離弾道ミサイルと核兵器がなくなれば、アメリカにとっての脅威はなくなるわけですから、在韓米軍を置いておく意味は薄れます。韓国が現在のアメリカの主敵である中国に対して、アメリカと連携して中国と対峙する気があるのであれば、在韓米軍・米韓同盟は地政学的に意味がありますが、先述の通り、「インド太平洋戦略」に加わるどころか、THAADミサイルの配備ですら順調に進まない現状を見れば、韓国が中国と対峙する気がないとアメリカが判断しても仕方がないと思います。

そうであるならば、アメリカにとって在韓米軍(米韓同盟)を維持するよりも、北朝鮮の長距離弾道ミサイルと核兵器の脅威を取り除いて、在韓米軍を撤退させた方にメリットがあることになります。

そうであるならば、北朝鮮との取引材料として在韓米軍の撤退と米韓同盟の破棄を使うという考えはビジネスマンのトランプ大統領としては、十分に考えていることでしょう。北朝鮮は長距離弾道ミサイルと核廃棄、アメリカは金正恩体制の保証と在韓米軍の撤退という条件のディールは成立しそうな話ではないでしょうか。

まとめ:日本はどうするべきか

しかし、日本とってはこのディールはあまり良いものではありません。日本に届く短・中距離弾道ミサイルは温存される可能性が高いからです。また、在韓米軍が撤退すれば、朝鮮半島は統一され、現在の38度線はいずれ対馬海峡まで降りてきてしまいます。

それでも、北朝鮮の非核化が確実に行われるのであれば、日本にとって大きなメリットです。弾道ミサイルの脅威は残りますが、これに対しては日本も同じような抑止力として同じ様な弾道ミサイルを持つことと、イージスアショア等の迎撃体制を充実させることである程度の解決の目処は立ちます。

一番の問題は拉致被害者の奪還です。これには首脳同士の直接対話が必要ですし、不本意ですが併合時代の清算として、お金を支払うことになると思われますが、拉致被害者の奪還が何よりも最優先なのは言うまでもありません。これは、アメリカが先に金正恩体制の保証と国交正常化して、次に日本だという流れができれば、解決は可能であると思います。

拉致事件を全て解決した上で、日本も北朝鮮と国交正常化という流れになりますが、私はここでアメリカとも協議した上で、もう一歩踏み出すべきだと思います。具体的には、日米韓に替えて、日米朝の安全保障体制を作るということです。

日本にとって一番困るのは、韓国と北朝鮮が統一され、隣に核を持った巨大な反日国家ができることです。それを回避するには、この荒唐無稽ともいえる日米朝の組み合わせを作ることで、中国から北朝鮮を引き剥がす戦略しかないと思うのです。

中国が韓国を日米韓から引き剥がしにかかり、韓国が離れていくのであれば、対抗して日米は北朝鮮を中国から引き剥がし、こちらの陣営に引きこむという戦略は、一つの案として検討しておくべきだと思います。

幸か不幸か、北朝鮮は言わずと知れた独裁国家であるので、一瞬で態度を変化させることも可能です。アメリカにとっても北朝鮮と安全保障で協力できれば、北朝鮮が保有している短・中距離ミサイルの方向を西向きに変えるだけで、中国に対するけん制のカードとして使えるというメリットもあります。

もちろん、現実には中国と北朝鮮の間には中朝友好協力相互援助条約があり、軍事同盟関係にあり、今すぐに日米側に引き剥がすことは不可能です。しかし、この条約は30年更新で、次回の更新は2021年と間近に迫っています。

それまでに東アジアの情勢がどのように動いているのか予測は難しいですが、これまで完全に敵側だった北朝鮮と日米が組むという荒唐無稽な話も、共産主義の防波堤として存在していた韓国に共産主義国家の北朝鮮に自ら飲み込まれに向かう従北政権が誕生したことを思えば、荒唐無稽とも言えないのかもしれません。

このような大きな視点で、歴史と常識を合えて無視して見てみることも、人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。

「小泉新大臣は汚染水の真実を発信するチャンスを潰したな」

解説-9月11日に行われた内閣改造の目玉は小泉進次郎氏の環境大臣就任でした。早速、福島第一原発の汚染水に関して、前原田環境大臣の「海洋放出しかない」との発言を関係者に謝罪するというパフォーマンスを行いました。

また、原発についても就任記者会見で、「どうやったらなくせるかを考え続けていきたい」と述べ、原発依存度を下げて、再生可能エネルギーの比率を高めたいという考えを示しました。

いずれも大衆ウケしそうで、自分のキャラクターを熟知しているなという印象ですが、今回の発言は、勉強不足と判断の悪さを露呈しており、国を導いていく政治家としては現状では期待できないと思います。

-トリチウム(三重水素)は海洋放出しても問題ない。

現在、福島第一原発から出ている汚染水について、中に含まれている放射性物質について、全く報道されていません。このことが、風評被害を生む大きな原因ですし、風評被害を恐れるからこそ、漁民の方々が海洋放出に反対しています。

そもそも、福島第一原発からどのように汚染水が出ていて、原田前環境大臣が「海洋放出しかない」と発言したことは、本当に間違いなのかについて検証していきます。

福島第一原発では事故によって生じたデブリ(融解燃料)を冷やし続ける為の水や雨水、地下水が放射性物質に汚染されることで、汚染水が発生しています。一時期よりは減ったものの、現在でも1日約170万トンの汚染水が発生しており、その汚染水は福島第一原発の構内に貯蔵されていますが、貯蔵スペースにもコストを負担することにも限界があります。

しかし、この汚染水の中身については何となく「放射性物質に汚染された危険な水」という認識しかない国民がほとんどではないでしょうか。科学的にこの汚染水を見ていくと、放射性物質に汚染された直後に専用の放射性物質除去装置の多核種除去設備 (ALPS)によって、トリチウム以外の放射性物質は告知濃度(法律で定められた放出のための濃度限度以下)にまで除去されています。

つまり、汚染水とは技術的な問題で除去が難しい放射性物質のトリチウムだけが除去できずに残っている水ということになります。このトリチウムは自然界にも存在している物質で、私たちが飲む飲料水にも含まれており、半減期は約12年です。また、トリチウムの放出するβ線のエネルギーは非常に小さく、被ばくリスクも小さく、体の特定の部位に滞留することも起こりにくく、人体への影響も他の核種と比べて非常に小さい為、海洋に放出しても問題ないとされています。

だからこそ、世界の原発では一定の基準以下にまで希釈されたトリチウムは海洋放出しても問題ないとされています。「放射線オリンピック」と日本を中傷している韓国の原発でもトリチウムは海洋放出されているのです。

-やるべきことは風評被害をなくすこと

汚染水に関して、「海洋放出しかない」という原田前環境大臣の発言は個人的見解を述べたに過ぎず、海洋放出の是非については経産省の委員会で議論されている段階です。しかし、上記のような科学的見地と世界での処理状況を考えると、結論は「海洋放出しかない」に落ち着くのではないかと思います。

国民の大多数も汚染水の内情について、マスコミが報道しない為、詳しく知ることもなく、何となく放射性物質が入って危険じゃないか程度の認識しかないのが現状です。そんな状況だからこそ、海洋放出に対して、風評被害が起きることは必然であり、地元で商売をしている漁業者が風評被害を恐れて、反対するのは当然のことです。

この現状を変えることこそが、国益であり、福島県の復興にもつながることです。汚染水問題を世界標準の方法に沿って、海洋放出によって解決し、国民に正しい知識を浸透させることで、福島県に対する風評被害を抑えて、地元の方々の生活を取り戻すことこそ、政治に求められていることです。

その為に小泉新大臣には自らが持つ人気と発進力を駆使して、風評被害の現況である汚染水に対する国民の認識を正すことが求められます。現状では、それとは真逆の謝罪パフォーマンスしかできていないことはとても残念です。

まとめ:将来の首相に向けた正念場

この汚染水問題だけでなく、就任会見での原発をなくし、自然エネルギー比率を増やしたいと発言もしています。どうしても、一連の反原発の言動の背後に父親の小泉純一郎元総理の影がちらついてしまいます。本当に信念を持って、反原発を主張するのであれば、国家としてのエネルギー政策についての所見を述べるべきです。

中東情勢が緊迫化している中で、原発を廃止しても、国内のエネルギー供給に問題はないのかといった海外要因も含めて、反原発を実現する為の具体的な政策を提言してほしいと思います。父親の純一郎氏は政治家を引退しているので、自分の理想を語るだけでも許されますが、政治の最前線にいる進次郎氏は理想だけでは政治が動かせません。

利害関係者の説得や党内の根回しといった水面下の汚れ仕事をこなせるようにならなければ、自分の実現したい政策は実行できません。進次郎氏は初当選から抜群の人気で、次の総理にふさわしい政治家としても常に上位をキープしています。しかし、今回の環境大臣就任により、政治家として成長できるのかを試される時が来ています。

大臣就任後の初手としては、汚染水について世界標準の処理方法について不勉強であったために、前大臣の海洋放出発言の謝罪というパフォーマンスにより、逆に汚染水の解決を遠ざけてしまったと思います。

ここから挽回して、本当の将来の総理候補になれるのでしょうか。異例の若さでの初入閣を見れば、国民だけなでなく、自民党も小泉氏には期待しているのは確かです。

私としては、まずは汚染水について正しい知識と世界標準の解決法を勉強して頂き、自身の人気と発信力をフル活用して、マスコミを動かすことで、国民に正しい知識を浸透させ、地元を説得させた上で世界標準の海洋放出を行うことができるような政治家に成長してほしいと思います。

「主体思想信奉者のチョ・グク氏の強行任命はワイドショーネタの笑い話じゃないよ。」

解説-文在寅大統領は数々の疑惑が浮上していたチョ・グク氏を法相に強行任命しました。いくつもの疑惑が出てくることから、「玉ねぎ男」と揶揄され、日本でも面白おかしく取り上げられていましたが、背景を知ると笑えない未来が待っている可能性があるのです。

このチョ・グク氏は北朝鮮の政治思想である主体(チュチェ)思想を信奉していることを隠していません。文大統領自身は主体思想派であることを表立っては認めていませんが、自他共に認める北朝鮮派のチョ・グク氏を強行任命することは、韓国政府が北朝鮮派に乗っ取られた革命政権であることを隠さなくなったと言えるのです。

-主体(チュチェ)思想とは

主体(チュチェ)思想とは朝鮮労働党および北朝鮮の指導指針とされる思想です。基本的な考え方は「人間が全ての主人公であり、全てを決める」ということです。個々の人間が主人公であり、一人ひとりが「主体」的に行動し、政治・経済・思想・軍事全てにおいて自主・自立を貫く国を作ることが正しいことだとされます。

しかし、一人ひとりが個別に行動しても、帝国主義や軍国主義や金融資本といった悪い勢力に潰されてしまいます。だから、そのような勢力に負けない為に、一人ひとりの人間が団結して、組織的に動くことが必要だということになります。

この組織を人間の身体に例えると、組織的に動くにあたって大事なものはその組織を指導する「頭脳」です。その「頭脳」が指示を出して、「神経」である朝鮮労働党が指示を全身に伝達し、「手足」である人民が動くことで、組織としての身体が正しい方向に動くことができます。

そして、「頭脳」には革命的血統を持つ正しい方向に導いていける指導者がいて、これが金一族のことです。「頭脳」が倒されれば、身体の「手足」である人民も全滅してしまいます。だから、人民は全ての犠牲を払って、時には命を投げ出しても「頭脳」を守ることが正しいこととされます。

お気づきの通り、この思想は金一族独裁体制を支える為だけの思想です。人民に金一族に対する絶対の忠誠を植え付ける為の思想にすぎません。現在の北朝鮮を見れば、自主・自立した国で、人間が主人公となった国家とはとても言えません。

それでも、北朝鮮の人民はこの主体思想を徹底的に教育されることにより、金日成・金正一・金正恩と3代に渡って続く、独裁者を絶対に守るべき「頭脳」として、犠牲を払わされ、崇拝させられているのです。

-韓国の主体思想派の謎

独裁国家である北朝鮮国内であれば、情報も遮断され、教育も徹底され、反抗すれば政治犯収容所に入れられてしまう為、ほとんどの国民が主体思想に染まってしまうことは納得できます。しかし、情報も自由に入ってくる民主主義国家であり、北朝鮮を主敵としているはずの韓国で、主体思想を信じてしまう人がいる理由はなんでしょうか。

これは北朝鮮が入念なスパイ活動により、司法界、メディア、教育界、そして労組を主体思想に染めていったからです。しかし、それでも金一族という独裁者を礼賛する思想が(仮にも)民主主義国家である韓国で受け入れられたという理由は、韓国に比べ、北朝鮮の建国の歴史のほうに正当性があるように感じられる部分があったからではないかと思います。

北朝鮮の建国の歴史は、抗日パチルザンという朝鮮独立運動神話が大きく関わっています。この神話では、日本の統治時代に満州で抗日パチルザンを組織していた伝説の金日成将軍が、日本軍を打ち破って、1945年8月に凱旋帰国し、北朝鮮の指導者となったとされています。

北朝鮮の建国の歴史は、抗日パチルザンという朝鮮独立運動神話が大きく関わっています。この神話では、日本の統治時代に満州で抗日パチルザンを組織していた伝説の金日成将軍が、日本軍を打ち破って、1945年8月に凱旋帰国し、北朝鮮の指導者となったとされています。

本当は、伝説の金日成将軍と金正恩委員長の祖父の金日成国家主席は年齢が合わず、別人であるという話や、日本軍を打ち破るどころか戦闘自体がなかったのではないかという話もあります。なので、これらの建国の歴史はあくまで神話なのですが、アメリカから開放してもらい、アメリカの傀儡の李承晩が初代大統領になった韓国側から見たら、朝鮮独立の為に日本と戦い、まさに「主体」的に日本を打ち破って国を建国した北朝鮮のほうが、朝鮮民族としての正当性があると感じてしまう人もいるのです。

実際には北朝鮮もソ連の傀儡政権であり、全く「主体」的とは言えないのですが、朝鮮を併合していた悪の日帝を打ち破り、核開発に邁進し、大国アメリカを手玉に取って「主体」性を維持しているというストーリーに見えてしまう韓国民が存在しても、仕方ないのかもしれません。

加えて、そういったストーリーを喧伝する主体思想派がマスコミや教育界に巣食っていますので、主体思想のバイアスが掛かった教育や報道を受けて育った韓国国民が増えているのです。その結果として、北朝鮮に対する脅威は矮小化され、今回の文在寅政権という従北政権の誕生へと至っているのです。

まとめ:韓国という国はなくなるかも?

文在寅政権は就任以来、対北朝鮮に対しては一貫して融和姿勢であり、政権内部には主体思想派が多数存在すると言われています。対北政策では、米韓合同軍事演習の縮小、南北境界線の地雷の撤去、国内情報担当官の廃止、GSOMIAの破棄と韓国軍の弱体化政策をとり続けています。

これは文在寅大統領が北主導の統一に向けて進んでいる一つの状況証拠とも言えます。この従北の姿勢に反発した韓国軍人と外交官OBが「文在寅政権の国家安保蹂躙(じゅうりん)行為を弾劾する」という激烈な声明を発表しています。また、数万人単位の反文在寅大統領の集会も行われています。このように、このままでは韓国が危険だと感じている韓国民もいますが、そういった声は韓国のマスコミはほとんど取り上げません。

その文在寅政権の最後の仕上げがチョ・グク氏の法相就任なのです。主体思想派のチョ・グク氏が法相に就任したら、保守派の大弾圧を行うでしょう。既に韓国では政府寄りのメディア以外は壊滅状態ですが、完全に絶滅状態にまで至るでしょう。主体思想によれば、一番大事な「頭脳」は金正恩様なのですから、それに反する批判は許すはずがありません。

就任後も娘の事情聴取が行われるなど、検察の最後の抵抗が続いていますが、ここで検察が押し切られることがあれば、韓国の検察は思想警察と化し、文政権や北朝鮮を批判する政治家や言論人は文字通り抹殺されるでしょう。その後、文在寅氏の予定通りにチョ・グク氏が不正選挙により、次の大統領に就任し、韓国が吸収される形での朝鮮半島統一に向かうと思われます。

それほど、主体思想思想派であることを隠していないチョ・グク氏の法相就任は韓国国家的危機とも言える事態なのです。マスコミはチョ・グク氏が主体思想派であることを報道しません。「玉ねぎ男」とか、文大統領がお友達を強行指名しようとしているだけと言った認識では、この先の韓国政治の動きを見誤る可能性があるのではないでしょうか。このような視点も人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。

北朝鮮・新型ミサイル-「アメリカが北朝鮮と組むシナリオもあるかも」

解説-北朝鮮が今年に入って短距離弾道ミサイルの発射を繰り返しています。これに対して、弾道ミサイル発射は安保理決議違反にも関わらず、トランプ大統領は問題にしていません。G7サミットでもこのミサイル発射を問題とする日本と問題としないアメリカの温度差がありました。

英・仏・独も共同声明としてこの弾道ミサイル発射を非難する共同声明を発表しました。地理的に東アジアから遠く、直接の脅威になりにくい欧州の3ヵ国が懸念を示しているにも関わらず、在日・在韓米軍が駐在しているアメリカのトランプ大統領がこの短距離弾道ミサイル発射を一貫して問題としない姿勢は不可解です。

-新型ミサイルは迎撃できない?

北朝鮮は5月4日以降、合計9回の短距離弾道ミサイルを発射しています。っミサイルの種類としては、一種類がロシア製の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」に類似した新型と分析されており、もう一種類は米国製の地対空ミサイル「ATACMS」に似ているという指摘もあります。

いずれのミサイルも単純に放物線を描くこれまでの弾道ミサイルの軌道と異なり、軌道の途中で水平飛行に移る特殊な飛び方をする為、従来のミサイル迎撃システムでは撃ち落とすことが難しいと分析されています。

これは第一には韓国に対しての脅威です。今回の9回の発射いずれも韓国内をカバーする射程の距離しか飛んでおらず、韓国国内どこでも狙えるミサイルです。もちろん、発射の角度を変えれば、西日本の一部までは十分届く距離なので、日本にとっても脅威であることは間違いありません。

しかし、第一の目標は韓国なのですから、韓国内の在韓米軍にとっては脅威になるはずですが、トランプ大統領は問題ないという姿勢を崩していません。これは私が前の記事で「アメリカは在韓米軍を撤退させ、米韓同盟の解消に向かう」という主張の傍証になる出来事であると思います。

-だれが米製の「ATACMS」を北朝鮮に流したのか

トランプ大統領が今回の一連の短距離弾道ミサイル発射について問題としない姿勢でいることについては、アメリカがいずれ在韓米軍を撤退させるからアメリカ人は死なない、だから問題がないのだという仮説で説明が付くと仮定します。

しかしそれでも、8月24日の新型ミサイルが米国製の「ATACMS」に似ており、北朝鮮にアメリカの技術が流されたという重大な事件に対してアメリカが反応していないのは何故かという疑問が残ります。

どこから北朝鮮に流れたのかと考えた時に、最初に思い浮かぶのは親北どころか従北とも呼べる文在寅が大統領を務める韓国でしょう。もし、犯人が韓国であれば、それだけで米韓同盟の解消に直結するような大問題です。

次に考えられるのは北朝鮮のハッカー部隊によるハッキングです。北朝鮮のハッカー部隊は非常に優秀と言われており、日本のコインチェックからの「XEM」という仮想通貨流出事件の犯人も北朝鮮のハッカー部隊ではないかとの噂もあります。

この北朝鮮のハッカー部隊が犯人であれば、アメリカの軍事情報のネットワークセキュリティの強化が急務となるはずですが、アメリカ軍にそのような動きはありません。

このような状況を考えると、一つの突拍子もないようなシナリオが頭に浮かびます。それが今回の一言に繋がるのですが、アメリカが北朝鮮と組むシナリオを考えているということです。

-まとめ:アメリカが北朝鮮と組むシナリオ

最初にこのシナリオは、今回の北朝鮮が発射した新型ミサイルが米製の「ATACMS」だと仮定した場合が全ての前提であることを先にお断りしておきます。(ロシア製の「イスカンデル」の改良品であるという説もありますので)

まず、「ATACMS」の技術やミサイル本体そのものを韓国が流出させていたとしたら、アメリカ軍は軍事統制権を持っていますし、韓国軍の指揮権はアメリカ軍の司令部にあることを考えるとその流出事態は掴んでいるはずです。また、北朝鮮ハッカー部隊のハッキングによるものであれば、同じく当然アメリカ軍は盗まれたことを認識していると考えられます。

であるとすれば、いずれの異常事態にも表立って反応しないということは、アメリカは流出したことを黙認しているということになります。ここで、今回一連の北朝鮮がいずれも東側の日本海に向けて撃ったミサイルを、反対の西側に向けて撃ったと仮定します。

そうすると、いずれも北京をはじめ、中国の主要都市に全て届く弾道ミサイルと言うことができます。私のブログで何度も記事にしている通り、現在のアメリカの主敵は完全に中国であり、その為に自国に痛みを伴っても経済戦争を仕掛け、サプライチェーンの引きはがし戦略を取り、中国の覇権主義を抑え込むために「インド太平洋戦略」という戦略を取っています。

もし、北朝鮮がアメリカと組むことになれば、中国の喉元に中国の主要都市を攻撃できる短距離ミサイルを持った脅威が突然出現することになります。金正恩委員長としては金王朝の体制保障だけが唯一の要求であることは、過去2回の米朝首脳会談から明らかですし、北朝鮮は8月に行われた米韓合同軍事演習でも韓国のことは激しく非難しましたが、アメリカに対しては一貫して批判のトーンは控えめです。特にトランプ大統領個人に対しては米朝首脳会談以降、罵るような発言は出てきていません。

逆にトランプ大統領も金正恩委員長に対して、米朝首脳会談以降、「恋に落ちた」とまで表現し、第二回の米朝首脳会談が物別れに終わった後も、親書を送り合うばかりか、電撃的に板門店で会談し、アメリカの大統領として初めて北朝鮮国内に足を踏み入れるパフォーマンスを披露しています。

このように考えると、北朝鮮が核を放棄し、アメリカが金王朝の体制保障をするという交渉に、北朝鮮の短距離弾道ミサイルはそのまま認める代わりにアメリカと軍事協力を行い、中国にミサイルの標準を向けるとことを条件とするという新しい要素を加えると、この交渉は北朝鮮にとってもアメリカにとっても悪くない交渉に思えます。

もちろん、現状では北朝鮮は中国と中朝友好協力相互援助条約を結んでおり、北朝鮮をアメリカが取り込むのは簡単ではありません。しかし、この条約は20年ごとの自動更新ですが、奇しくも2021年7月に自動更新の時期を迎えるという絶妙のタイミングでもあります。

今回の一言はあくまでも頭の体操のような突拍子もないシナリオの一つですが、こんなシナリオが有り得るくらい、現在の国際情勢は混沌としています。日本もいろんなシナリオを想定した上で、国際社会を生き抜いていくかじ取りをしていく必要があると思います。このような常識を疑うような視点も人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。

米朝首脳会談・北朝鮮訪問-「トランプ大統領はただのパフォーマンスじゃなくて、罠を仕組んでいるかも」

解説:大阪G20後にビックプライズがありました。トランプ大統領がツイッターで金正恩委員長に会いたいと発言し、翌日に米朝首脳会談が実現するという驚きの展開となりました。

あまりのも突然決まったサプライズ会談の為、事前の実務者交渉がなかったこともあり、成果としては少なく、非核化協議の再開の合意のみでした。しかし、トランプ大統領が軍事境界線を越えて、金正恩委員長と一緒に北朝鮮の領土に足を踏み入れました。このことは、ただのトランプ大統領のパフォーマンスというだけではなく、今後、北朝鮮にとって大きな罠となる可能性があります。

-イラン制裁で武器が売れない北朝鮮

今回の会談はトランプ大統領のツイッターによる呼びかけに金正恩委員長が反応して実現するという異例な会談でしたが、大枠で見てみるとアメリカの呼び出しに北朝鮮が応じたという形になっています。

北朝鮮が無条件にアメリカの呼び出しに応じることも異例ですし、事前の協議がないままにトランプ大統領と対峙することもリスクを考えると異例と言えます。

逆に言えば、北朝鮮がそれだけ追い込まれていると見ることもできます。その背景にはトランプ大統領のイランへの圧力強化があります。イラン革命防衛隊をテロ組織に指定した他、原油に対しても制裁を強化しています。

イラン政府は否定していますが、イランと北朝鮮は核技術を含めて取引関係にあり、北朝鮮の外貨獲得のお得意先はイランと言われています。北朝鮮自身への制裁だけでなく、得意先のイランの資金まで絶たれつつある状況です。

特に先月のホルムズ海峡でのタンカー攻撃の証拠映像で、アメリカがイラン周辺を徹底的に監視していることが明らかになった以上、北朝鮮がイランと大きな軍事的取引をすることは不可能なのが現状です。

加えて、第二回米朝首脳会談が物別れに終わってしまい、その後に中国とロシアと会談しましたが、資金援助の話はまとまっていません。トランプ大統領への親書を再度送るほど金正恩委員長は追い込まれつつあり、その中でのトランプ大統領からの今回のツイッターの誘いは背に腹は変えられないということで、呼び出された形になっても会談に出てきたのではないでしょうか。

-トランプ大統領が北朝鮮国内に入った意味

そのサプライズの米朝首脳会談時に、トランプ大統領は米国の大統領として初めて北朝鮮国内に足を踏み入れています。(余談ですが、この時周囲に大統領を警護するシークレットサービスはいなかったということです。敵国の兵士が周りを囲んでいる中でこの行動力と勇気は単純にパフォーマンスとだけは言い切れないのではないかと個人的には思います)この行動が後々効果を生むのではないかというのが私の今回の見方です。

トランプ大統領流のサプライズとは言え、アメリカの大統領が北朝鮮に足を踏み入れたという事実は、そのまま同じように金正恩委員長もアメリカの領土に足を踏み入れることができるということになります。

これは今後の米朝首脳会談の開催地が第3国以外でも開催が可能になる可能性が高まったということです。現実的に次の米朝首脳会談がすぐにアメリカで開かれる可能性は少ないと思いますが、アメリカ側は交渉のカードとしては開催地カードを得たことになります。

また、より重要なことは今回のトランプ大統領の行動で、アメリカは北朝鮮の平壌での開催も提示しやすくなりました。これも、一度トランプ大統領が北朝鮮の領土に足を踏み入れたからです。軍部を初めとする反対派が「敵国の首脳を入れるわけにはいかない」と反対しても、一度入ったことがあるという事実は大きく、反対派の批判派今回のトランプ大統領の越境を許可した独裁者・金正恩委員長批判に繋がる為、反対派の声は小さくならざるをえません。

まとめ:北朝鮮で会談を開催する意味

北朝鮮の平壌にアメリカのトランプ大統領が訪問して会談する意味は大きいものがあります。これまで不倶戴天の敵としてきたアメリカの大統領を国内に迎えることで、朝鮮戦争の終結への機運を高めることが出来ます。また、金委員長としても歴代の指導者が出来なかった敵国のアメリカの大統領を北朝鮮国内に招いて対等に会談をするという絵を見せることができます。

トランプ大統領から見れば、平壌を訪問できれば、外交儀礼として、次は金委員長がワシントンに行くことになりますので、実質的に「国交正常化=これまで歴代の大統領ができなかった朝鮮戦争の終結」への道筋が付くことになります。(トランプ大統領が欲しがっているといわれるノーベル平和賞は確実でしょう)

日本の立場から見れば、完全な非核化と拉致問題の解決なしに朝鮮戦争終結と米朝国交正常化は到底受け入れられませんが、大統領選挙前とトランプ大統領個人の資質を考えると、今回のサプライズ会談が米朝関係の大きな分岐点になる可能性を否定できません。

このように考えると、今回の会談もただのトランプ大統領のサプライズパフォーマンスだけではない歴史的な会談となる可能性もあるのではないでしょうか。このような見方も人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。

米国・イラン・戦争-「戦争回避のウルトラCは自衛隊の基地をイラン国内に作ること」

-解説:アメリカとイランの関係が急速に悪化しており、戦争の危機が高まっています。最初はトランプ大統領がイラン核合意から一方的に離脱したことから始まり、イランの革命防衛隊をテロ組織に指定し、安倍総理の訪問中にホルムズ海峡でタンカーが何者かに攻撃され、イランはアメリカの無人偵察機が領空侵犯したとして偵察機を撃墜と急速に関係が悪化しています。

ホルムズ海峡でのタンカー攻撃では、アメリカは初期段階からイランが関与していると名指しし、証拠としてイラン軍がタンカーから不発弾を取り外している映像を公開しました。イラン側は全力でタンカーの船員を救助する為の安全確保の為だったと言っていますが、それなら何故その旨を事前にアメリカに通達しなかったのかという疑問が残ります。

アメリカは攻撃に使われた水雷がイラン製に酷似している新証拠も提示し、イラン犯人説は強まっています。その中でのアメリカ偵察機の撃墜は、もし領空侵犯していなければ、アメリカに対する直接の攻撃となり、一気に戦争に近づくでしょう。

何とか戦争を回避する方法はないのでしょうか。

-シーア派のイランには敵が多い

中東は非常に宗教が絡み非常に複雑ですが、特にイランは周囲に敵が多い国です。その最大の理由はイランがシーア派と呼ばれるイスラム教の少数宗派の国であることです。

イスラム教は偶像崇拝を禁止している宗教です。特にスンニ派はそれを厳格に守っており、だからこそスンニ派の過激派であるタリバンはバーミヤン大仏を偶像崇拝だとして破壊するのです。それに対して、同じイスラム教でもシーア派は偶像崇拝に寛容な部分があり、宗教指導者の肖像を飾ることも問題にされません。シーア派はイスラム教開祖のムハンマドと血がつながった人が宗教指導者になる宗派ですから、宗教指導者が崇拝の対象となります。

だからこそ、厳格なスンニ派はそれを偶像崇拝だとして許すことができないので、お互いに対立しているのです。しかも、比率で言えば、スンニ派が9に対してシーア派1の少数派です。イランは中東でスンニ派の国に囲まれているという状況が続いているのです。

-イランを潰したい国々

イランはイスラム教シーア派でサウジアラビアを中心とした同じイスラム教のスンニ派からだけでなく、ユダヤ教のイスラエルからも敵対視されています。そして、そのどちらの国の背後にもアメリカがいるのです。

イスラエルは言うまでもなく、アメリカの庇護下にある国家で、特にトランプ大統領になってからは、大使館のエルサレムに移転やゴラン高原のイスラエル主権を認める等、より関係が密になっています。

サウジアラビアはイラクがクウェートに侵攻した湾岸戦争以後、イラクの侵略を防ぐ目的もあり、アメリカ軍基地が国内に存在しています。もちろん、アメリカ側から見れば、サウジアラビアの石油利権を握っておきたいという意図があったでしょう。前オバマ政権は天敵のイランに対して融和姿勢をとった為、一時アメリカとの関係はギクシャクしましたが、現在は良好な関係に戻りつつあります。

-イラン側からの視点

このような現状をイラン側の視点から見ると、周りは敵に囲まれていて、唯一味方をしてくれそうな大国はロシアのみで、異宗教のハイテク国家の敵国イスラエルは公然の秘密として核兵器を持っており、同じイスラム教で宗派の違う中東の大国のサウジアラビアには世界最強のアメリカ軍の基地があるという状況です。

この状況では自力で核兵器を開発しないと国が存続できないと考えても仕方のないことかもしれません。イランから見て敵国のイスラエルもサウジアラビアも宗教と歴史が絡んでの敵対関係であるため、これを解消することは事実上不可能です。

そして、現在はその2カ国の背後にいたアメリカが直接圧迫を加えてきていますが、この圧迫に屈することは宗教指導者として、指導力がないことを示すことになる為、引くに引けない状況にあると言えます。

-まとめ:日本の自衛隊基地をイランに置くというウルトラC

アメリカもイランと戦争をするメリットが多いとはいえません。シェール革命により、産油国になったアメリカは以前のように中東の石油にしがみつく必要がなくなっています。また、宗教的最高権威であるハメネイ師を最高指揮官に持つイラン国軍と革命防衛隊は強固な団結と忠誠心の下に戦う為、アメリカ軍の苦戦が予想され、多数の犠牲者が出る可能性あります。

アメリカはイランが核開発さえ諦めてくれれば、正常な関係に戻す十分な動機がありますが、先述の通りイラン側から見れば、核兵器こそ自国をイスラエル、サウジアラビア(他スンニ派の国々)から守る唯一の解決策であるため、諦めるわけには行かないという事情があります。

しかし、アメリカから見れば、イスラエルとサウジアラビアの直接の脅威になる核保有を認めるわけにはいきません。核保有を認めれば、これを脅威と感じるイスラエルがイラクを独自に攻撃することが予想されます。そうなると各国を巻き込んでの第五次中東戦争の危険があります。

このように、どちらも譲れない事情があるので、解決は難しく戦争の可能性も一気に高まっているのが現状です。

最後に、私がウルトラCの解決策として提案したいのが、日本の自衛隊の基地をイランに置くという案です。日本とイランの関係は良好で、実際に6月12日には安倍総理は最高指導者のハメネイ師と会談しています。ハメネイ師と会談できる首脳は世界を見回しても限られています。

日本はその友好関係を生かして、自衛隊の基地をイラン国内に置くと、サウジアラビアやイスラエルはアメリカと同盟関係にある日本の自衛隊がいる為、イランに攻撃できない状況が生まれます。そうなれば、イランも自国の安全が保証されるので、核開発をする必要がなくなります。逆にイランが他国に侵略しようと考えても、アメリカと情報を共有している自衛隊の基地が国内にあることが抑止力となり得ます。

もちろん、日本はイランだけでなく、サウジアラビアやイスラエルとも利害関係があり、アメリカの賛成も必要なので、実現可能性が少ない頭の体操のような案ですが、これくらいのウルトラCの策でなければ、現在のアメリカ・イランの戦争への道を止めることは難しいのではないかと思っています。

何とか戦争への道を回避できるように外交努力を続けて欲しいと祈っています。今回の頭の体操のようなウルトラCの提案も人とは違った味方と言えるのではないでしょうか。