消費増税・萩生田発言-「当たり前の発言を袋叩きになる空気に対してこそ、戦前の反省を生かそうよ」

解説-萩生田幹事長代行がネットテレビで「6月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の数字をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、崖に向かい皆を連れていくわけにいかない。」と発言し、10月の消費増税の延期を示唆する発言をしました。

この発言に対して、菅官房長官や麻生財務大臣が即座に火消しする発言を行い、二階幹事長も苦言を呈し、自民党側は火消しに躍起になりました。マスコミも日本商工会議所の三村明夫会頭の「ちょっと信じられない。」という反発の声を拾い、萩生田発言は袋叩きにあっています。

しかし、冷静に考えて、景気を判断する「数字を良く見て」増税ができないようだったら、取りやめるべきだという発言自体のどこに問題があるのでしょうか。消費増税を行って景気がより悪化するのであれば、それをやめるべきという正論です。

この正論を袋叩きにする空気こそ、マスコミや左翼が良く言うところの、戦前の「モノを言えない空気」そのものではないでしょうか。

「決まっているから変更するな」という愚論

萩生田氏の消費増税見送り発言に反発している側の意見は「幼児教育無償化の予算は消費増税分を盛り込んで成立しているから不可能だ」や「社会保障の財源として安定した社会保障制度維持のために必要だ」というものです。これらの反対論はいずれも「決まっていることだから変更するな」という共通項があります。

幼児教育無償化の予算が消費増税分を盛り込んでいるのであれば、補正予算で国債を発行して予算措置をやり直せばいいことですし、社会保障の財源に関しては、本当に消費税でやらなければならないのかを再度議論していけばいい話です。

話は多少逸れますが、そもそも社会保障制度とは弱者救済のための制度であるはずです。それを逆累進性の高い(弱者に負担が大きい)消費税で財源を確保するのは社会保障制度の趣旨に反すると思いますが、この話はいずれ別記事で触れたいと思います。

戦前の正論が通らない状況と同じ

話を戻しますと、決まっていることでも未来に良い結果が待っていないのであれば、変更するのは当然です。現状は世界経済に米中貿易戦争や中国の景気減退、ブレグジットとたくさんのリスクがあり、いずれもリーマンショック級になり得る状況です。その中で、5月に発表が予定されている1~3月期のGDP速報値はマイナス成長になる可能性が高いという声が多数出ています。

この状況下で消費増税を行えば、景気がより悪くなることは確実です。現にこれまで2度消費税を上げていますが、いずれも景気が落ち込んでいます。だからこそ、今回の増税に関しても増税対策の予算を盛り込んでいるのです。つまり、政府も野党もマスコミも増税したら景気が悪くなることはわかっているのです。

にも関わらず、決まったことだから、増税に対して経済界も準備しているからという理由で増税延期論を袋叩きにして潰そうとする勢力は戦前の失敗から何も学んでいないことになります。戦前も中国大陸で戦争しながらアメリカと開戦しても確実に負けるという分析が政府の中でもできていたにも関わらず、アメリカとは戦争すべきでないという正論が開戦やむなしという圧倒的空気によって潰されました。

マスコミを中心とした戦前の日本が悪かったという人たちは、戦前の「モノが言えない空気」が悪かったと散々批判していたのではないでしょうか。今回の萩生田発言に対する袋叩きは、戦前の「アメリカと開戦すべきではないという」正論を「弱腰」として潰した当時の空気感そのものではないかと思います。

どっちが悲惨なのか

確かに3月に成立した予算の中には消費増税分を財源とした幼児教育無償化があり、経済界も消費増税に備えてキャッシュレス決済への対応も始めているため、今から消費増税を延期したら、各方面に影響は出ます。これまで準備していた時間と費用が無駄になるのですから反対する理由はわかります。

しかし、一時の時間と費用が無駄になることと、リーマンショック級のリスクがいくつもあり、国内の経済状況も悪化している中で消費増税を強行して、日本経済を谷底まで突き落として、「令和の失われた○年」を作り国民全体が不幸になることと、どっちが悲惨なのかということです。

少なくとも、現状の世界経済におけるリスクと国内経済の景気状況、その状況の中で消費増税を行うことについての影響こそ、国会で議論するべきです。

まとめ:私たち国民のためにこそ、消費増税中止を

景気が悪くなることが分かりきっているにも関わらず、それに懸念を表明し、見直しを言及しただけで、データに基づいた議論をすることもなく、発言自体を封じてしまうという風潮は戦前の「モノを言えない空気」と何が違うのでしょうか。戦前の日本を批判する勢力こそ、政治・言論空間を戦前と同じ状況にすることに加担しているのではないでしょうか。

「消費増税して国滅ぶ」では意味がありません。経済紙ウォールストリートジャーナルからは「安倍晋三首相は年内に消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決めているように見えるのだ。」とまで書かれています。

消費増税賛成派が言う「将来世代にツケを残すな」は全く逆です。この世界経済の減速の中で日本経済をより悪化させる消費増税の強行によって発生する不況と、そこから這い上がるためのコストと時間こそが、将来世代により重いツケとなって残るのです。

過去二回の消費増税による経済の悪化と戦前の「モノを言えない空気」の反省、つまりマスコミが良く言う「歴史の反省」が本当の意味で今こそ必要なのです。このように萩生田氏の発言と歴史を絡めた見方も人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。


投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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