自由朝鮮・スペイン大使館襲撃-「これは金王朝が無血で倒れる可能性が出てきという重大ニュースだよ」

解説-今年の2月にスペイン北朝鮮大使館が「自由朝鮮」を名乗る北朝鮮の反体制団体によって襲撃され、大使館職員を拘束・尋問した上、パソコンや携帯電話を盗んで逃走するという事件が起きました。

その後、「自由朝鮮」は犯行声明をアメリカFBIと情報を共有したことを発表しました。しかし、アメリカ国防省は事件への関与を否定しています。そして、その後、4月19日に大使館襲撃のメンバーとして、元米海兵隊をアメリカ当局が逮捕したことが発表されました。

自由朝鮮とは

前の記事でも少し触れましたが、「自由朝鮮」とは北朝鮮脱北者を中心に組織された反体制団体で、金正男氏暗殺の後に正男氏の息子である金漢率(キムハンソル)氏を保護したことで有名になった組織です。

その後、3月1日に臨時政府の樹立を宣言する動画を発表しています。まだまだ組織の全容は明らかになってはいませんが、スペイン北朝鮮大使館襲撃や金漢率氏がアメリカのニューヨーク近郊に保護され、滞在しているということを考えますと、アメリカと何らかの関係があるのではないかと噂されている組織です。

大使館襲撃メンバー逮捕はブラフか?

アメリカは「自由朝鮮」とは何の関わりもないという公式な立場と保っています。FBIが情報共有をした件についても「莫大な価値をもたらす可能性がある特定情報」を先方の要請によって共有しただけであるという立場です。

その後、実際にアメリカ当局が「自由朝鮮」の元米海兵隊のメンバーを逮捕しており、逮捕されたことについて、「自由朝鮮」側は代理人の弁護士を通じて「米司法省は北朝鮮の体制からの刑事告発に従って米国人に礼状を執行した形で、落胆した」とする声明を出しています。

しかし、これは北朝鮮向けのポーズでアメリカが「自由朝鮮」と繋がっていないというのは嘘であると思います。その一つの証拠としては、金正男氏の息子の金漢率氏がニューヨークで保護されているという点です。もう一つが第二回米朝首脳会談の失敗後すぐの3月1日に「自由朝鮮」が臨時政府の樹立を発表した点です。

アメリカの交渉の裏に北朝鮮大使館襲撃事件で得た情報が?

この点は非常に重要で、時間の流れとして、スペイン北朝鮮大使館襲撃が2月で、その後すぐに「自由朝鮮」が犯行声明を出し、FBIと奪った情報を共有したことを発表しました。その後、第二回米朝首脳会談が2月28日に交渉決裂に終わり、その翌日の3月1日に「自由朝鮮」が臨時政府の樹立を発表しています。

この流れを見れば、あくまで推測ですが、北朝鮮大使館襲撃で得た情報をアメリカが分析した結果、北朝鮮の経済制裁が効いていることを掴んでいたのではないかと推測できます。実際に仮想通貨流出事件の裏に北朝鮮がいて、そこから資金調達がされていたとの報道も出ています。

そして、第二回米朝首脳会談では北朝鮮が隠していた核施設をアメリカが示したとも報道されていますが、これも想像を逞しくすれば、同じく奪った情報の中から見つかった可能性もあります。

そして、アメリカは北朝鮮が完全な非核化を行う気がないのであれば、このまま経済制裁を続けることが北朝鮮を追い込むことに繋がると判断し、完全な非核化を行わない姿勢の北朝鮮に対して、交渉を決裂させ、その翌日に「自由朝鮮」に臨時政府の樹立を発表させ、金正恩委員長の替わりはいるということをアピールさせたと見ることもできます。

金一族の正統性と金漢率氏

金日成から続く北朝鮮の独裁政権の権力の正統性を簡単に言うと、初代の金日成が白頭山という山を拠点に抗日戦争を戦い、北朝鮮を日本の占領から解放したという神話があります。また、その抗日戦争の中で二代目の金日正が誕生したというエピソードも同じ神話に盛り込まれています。

つまり、抗日戦争を戦って、北朝鮮を解放した偉大なる金日成将軍の血統(白頭山の血統)であるということが、権力正統性の基盤となっているのです。だからこそ、共産主義ではスターリンも毛沢東もやらなかった権力の世襲を3代にわたって続けていることも正当化されているのです。

これは逆に金日成の血統を継ぐものであれば、代替が効くという弱点もあります。だからこそ、北朝鮮国内では権力基盤を持たず、海外で生活をしていた金正男氏ですが、白頭山の血統を持っているという理由一点だけで金正恩委員長にとっては脅威だったということです。

結果として金正男氏は暗殺されましたが、その息子の金漢率(キムハンソル)氏を「自由朝鮮」が保護し、アメリカに滞在しています。もともとはマカオにいた金漢率氏を移動させて、アメリカに滞在させているということは、アメリカがカードとして持っているという北朝鮮へのメッセージでもあると言えます。

まとめ:無血で金正恩体制が替わる可能性

これから先、アメリカが金漢率氏という白頭山血統を持つ重要なカードをどのように使っていくつもりなのかはわかりませんが、このカードによって、日本にとってベストなシナリオも見えてきます。

そのシナリオとは、金正恩委員長を中心とした金一族が海外に亡命することを条件に身の安全を保障し、同じ金日成将軍の血統である金漢率氏を最高権力者とする政権ができるというものです。このシナリオであれば、新しく権力者になった金漢率氏は前政権の悪政を清算しようとするので、拉致被害者が帰国する可能性がかなり高くなりますし、戦争が起きることも防げます。

もちろん、その後の核兵器の管理の問題や、そもそも金正恩委員長がこの提案に乗るのかなど、実現の可能性には疑問符が付きますが、「自由朝鮮」がアメリカと繋がっており、金日成将軍の血統の金漢率氏を保護しているという事実は、先が見えないチキンレースの様相を呈している北朝鮮問題にとって、明るい兆しと言えるかもしれません。

あまりニュースで取り上げられなかったスペイン大使館襲撃事件にこのような重大な変化が隠れているのではないかという見方も、人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。


投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です