イラン訪問・タンカー攻撃-「現時点では犯人は革命防衛隊の可能性が高いね」

解説-安倍総理が6月12・13日の日程でイランを訪問し、最高指導者のハメネイ師やロンハニ大統領と会談しました。ハメネイ師から核兵器の製造や保有を目指す意図はないという考えを引き出した一方で、アメリカとは交渉せず、トランプ大統領にはメッセージを送る価値もないとも発言しています。

さらに驚くべきことに、安倍総理のイラン訪問中に日本が関係する1隻を含むタンカー2隻がホルムズ海峡で攻撃されるという事件が起こりました。アメリカはイランが犯人だと名指しし、緊張が高まっています。

-安倍総理訪問中にイランが仕掛けるか?

今回の安倍総理のイラン訪問は5月のトランプ大統領が訪日した際に決まりました。その背後で、トランプ大統領訪日の直前にイラクの外相も訪日し、カウンターパートの河野外相だけでなく、安倍総理とも会談しています。その直後にトランプ大統領が訪日し、6月12・13日の安倍総理のイラン訪問が決まっています。この流れを見ると、イラン側はアメリカとの関係修復を望んでいると思われていました。

そこに今回のタンカー攻撃が起こっているのです。しかも、安倍総理が訪問している最中に日本が関係する船舶も巻き込まれたということで、日本の面目も潰すことになります。アメリカはイランの革命防衛隊がタンカーに打ち込まれた不発弾を回収している映像があると主張していて、イランが犯人であると明言しています。

アメリカとの関係を修復したいイランがようやく仲介して訪問してくれた日本の顔を潰した上で、アメリカとの関係を逆に悪くするタンカー攻撃を行う理由がないのです。

-誰が得をするのか?

では、どの勢力にメリットがあるのかを見て行きたいと思います。つまり、アメリカとイランの軍事的緊張が高まることで得をする勢力です。

まずは同じイスラム教でも宗派が異なるイスラム教スンニ派の大国サウジアラビアが挙げられます。シーア派のイランと長年対決しており、親米派と見られている大国です。イランがアメリカに睨まれ、経済制裁を受け続けている状況はサウジにとっては大きなメリットと言えます。

次はユダヤ教国家のイスラエルが挙げられます。イスラエルにとってイランは、イスラム教支配地域を違法に占拠するものとして、イスラエルの存在権を否定している敵国です。イスラエルが核保有国であることは公然の秘密ですが、イランが核開発を完成させると中東で核ドミノが発生することは確実な為、アメリカがイランを押さえ込んでいる状況をキープすることはイスラエルにとって大きなメリットです。

あとは中東から外れたところで、米中貿易戦争に加え、香港の大規模デモの問題を抱えている中国も事件を起こせば、自分から目を逸らすことができるという見方も出来ますが、関与が露呈したときのリスクを考えると現実的ではないと思います。

最後に、アメリカ国内の対イラン強硬派にとっても、今回の事件はメリットがあったと言えます。その強硬派を支えているのはユダヤ系アメリカ人なので、実質的にはイスラエル勢力とも言えるのですが。

-犯人は誰なのか

このように見ていくと、どの国も怪しく思えてきますが、私が本命視しているのは、イラン革命防衛隊の対米強硬派説です。イランにはイラン国軍と最高指導者ハメネイ師の直轄軍であるイスラム革命防衛隊(以後:革命防衛隊)という2つの軍隊が並存しています。特に革命防衛隊はイラン政府の枠外にある組織で、アメリカがテロ組織に指定した軍隊です。

イランにはロウハニという大統領がいますが、あくまで行政の長であり、他国における首相に相当します。そのロウハニ大統領の上に国家元首である最高指導者のハメネイ師が君臨しているのがイランの政治体制です。

ロウハニ大統領は穏健派と言われていますが、同じ穏健派のザリフ外相が対米強硬派の圧力に耐え切れずに辞任に追い込まれて以降はアメリカに対しても強気な発言をせざるを得ない状況に追い込まれています。

それに対して最高指導者のハメネイ師は一貫して対米強硬派であり、今回の安倍総理との会談でも、トランプ大統領と交渉する気がないという姿勢を崩しませんでした。ロウハニ大統領とハメネイ師の間には対米関係について、大きな温度差があるということがポイントです。

つまり、日本にアメリカとの仲介をしてほしかったのはロウハニ大統領のみで、ハメネイ師は最初から日本に仲介役を望んではいなかったと思います。だからこそ、最初は安倍総理もハメネイ師とは会えず、ロウハニ大統領との会談だけになるかもしれないとの報道も出ていたのです。

実際には日本とイランの歴史的つながりの深さからハメネイ師とも会談することはできましたが、先述の通り、やはり強硬姿勢を崩さず、イランとアメリカの橋渡しとまではいきませんでした。

最初から最高指導者のハメネイ師は対米強硬路線を降りる気はなく、直轄組織の革命防衛隊は以前から対米強硬派であったことを考えれば、ハメネイ師が具体的に指示を出したかはともかく、革命防衛隊がタンカー攻撃を仕掛けた可能性が高いと思います。

アメリカが6月14日に革命防衛隊が攻撃を受けたタンカーから不発だった水雷を取り除く映像を公表していますが、これがアメリカの謀略がなくそのまま事実であれば、少なくともハメネイ師は革命防衛隊の仕業だと知っていたことになります。

まとめ:戦争の危険もある

そうなると安倍総理に話したとされる核兵器を使用する意図も保有する意図もないという発言の信憑性は低くなります。安倍総理に仲介役を依頼したトランプ大統領本人は決してイランと戦争したがっているとは思いませんが、その周りや支持者はイランを潰したいと思っている勢力がいる為、この先の展開を注目していきたいと思います。

最後に考えておきたいのは、現在のところ、イランの核兵器は完成していません。しかし、核合意をアメリカが破棄し、革命防衛隊がタンカーを攻撃し、国際秩序に挑戦を表明した以上(革命防衛隊が犯人という前提付きですが)、イランが核開発を進めることは確実でしょう。つまり、数年後の未来にはイランが核保有国となるということです。

逆に言えば、「核保有国になる前なら攻撃し易い」とアメリカとその他対イランを敵視している勢力からすれば、攻撃=戦争する動機があるということです。戦争にならないことを祈りますが、そういう恐ろしい状況に変わりつつあるということは認識しておくべきだと思います。

まだ、犯人が誰か確定していない状況ですが、このような見方もあると思います。

投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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