「中国全土の渡航制限をしないことにもメリットがある。」-新型コロナウイルス

解説-新型コロナウイルスが猛威を振るい続けています。マスクの売り切れも続いており、私の営業先の宮崎県でも売り切れの状態です。感染者も増え続けており、今後も増加が見込まれる状況です。

私の住んでいる熊本県内でも感染者が見付かり、熊本市は新型コロナウイルス感染者が出た場合には、市立の小中・幼稚園を14日間の臨時休校させる方針です。私事ですが、今年卒園を迎える息子の卒園式が無事行われることを祈っている状況です。

マスコミの報道も新型コロナウイルス一色ですし、一部保守系論壇においても政府の対応を巡って仲違いが起こりそうな状況です。私は武漢が閉鎖されたタイミングで政府が中国からの全面渡航制限を実施しなかったのは、その当時の状況においては、全面渡航制限を実施しないという政策判断も完全な悪手であると決めつけることはできないと思っています。

-冷静にデータを見ること

中国政府が発表するデータの信ぴょう性が薄い事は、今回の新型コロナウイルスに関係なく、経済分野や災害・事故に関しても同じく共通認識としてあります。それでも、海外の感染者のデータはある程度信頼することができます。

その数字を見てみると、新型コロナウイルスの致死率は0.6%程度です。これは検査をするような明らかな症状が続いている人がほとんどの数字ですので、無自覚感染者を分母に入れると、もっと少なくなるでしょう。

当然、ウイルスは変異をして、強毒性に変わる危険性は常にありますので、新型コロナウイルスを軽視しているわけではありません。

それでも、この致死率は割と低いという事実から、これまでの政府の対策を考えてみたいと思います。1月23日に武漢が封鎖され、日本がチャーター機を飛ばして、現地法人を帰国させた後、帰国した人の検査を行いました。その結果、無自覚症状者を含む、十数人の感染が確認されました。

この方々から死者は出ていません。また、このチャーター機で帰国した方々は民間の宿泊施設に一定期間、隔離されました。世界でも最速に近い迅速な対応だったと思いますし、この経緯を批判する人は少ないと思います。

問題にされることが多いのは、その後の中国人渡航者に対する対応です。アメリカは2月の初めから、中国人だけでなく、中国に滞在した外国人も含めた渡航制限や検査の徹底が行われました。北朝鮮とロシアも国境を封鎖し、シンガポール、フィリピン、オーストラリアも中国全土からの入国制限を行っています。

それに対して、日本は初めに武漢を含む湖北省滞在者の入国制限を行い、その後、近隣の浙江省滞在者の入国制限を行っているだけで、中国全土を対象にしていません。この件については前記事でも触れた通り、二階幹事長が親中派で全国旅行業協会会長であることと無関係ではないのではないかと考えています。

そういった政治的な中国への配慮とは別に、事実を見てみると、武漢封鎖が行われる前から、大量の人が武漢を離れていたことがわかっており、封鎖前からウイルスに感染していた人が大量にいたことも確認されています。

そうであるならば、武漢封鎖後すぐのタイミングで入国制限を掛けたところで、国内にウイルスが入り込むのは時間の問題であったと言えます。政府の頭には全面渡航制限と経済損失を天秤に掛けて、経済損失を最小限に防ぐ方を取ったのでしょう。

加えて、今年の春に予定されている習近平国家主席の訪日も全面渡航制限にブレーキを掛けた要素でしょう。もし、日本が全面渡航禁止をしていれば、習近平国家主席訪日の際には、その制限を解除する必要があります。

そうなれば、その時点で新型コロナウイルスが収束していなくても、日本は終息宣言をしたに等しい誤ったメッセージを世界に発信することになってしまいます。

もう一つの視点として、習近平国家主席の国賓での訪日は全人代が開催できないにも関わらず、現在も実施の方向で調整が続いています。これは、メンツを重んじる中国が自分から中止言い出すことができないからと言われています。

日本が全面渡航制限をかけていたならば、これを口実に日本側が断ったと中国が言い訳に使うことができます。逆に渡航制限を掛けていないことで、中国のメンツという外交カードを日本が手にしていると見ることもできるのです。

-これからは全面渡航制限を検討する局面に来ている

しかし、これらの見方はあくまで日本と中国の二国間の関係に絞った時の話です。現在は国際社会のフェーズが変わりつつあります。その代表例として、イスラエルが日本と韓国滞在者の入国を2月24日から禁止したことです。これまで、ツバルやミクロネシアなどは日本滞在者の入国制限の措置を取っていましたが、イスラエルという中東の大国からの入国禁止措置は事大きく変化する兆しだと思われます。

アメリカとオーストラリアも日本への渡航警戒レベルを1段階引き上げており、この流れが続けば、日本人が海外に出られないという事態を引き起こす危険性があります。日本はクルーズ船と直接武漢からチャーター機で帰国した人以外の国内感染者は約150人で死亡者も0人なので、むしろ1万2000人もインフルエンザで死亡しているアメリカ滞在者を日本が入国制限すべき話ですが、現実としては、国際社会は日本を新型コロナウイルスの感染地域と見なしつつあります。

その理由として、日本が中国滞在者の全面渡航制限措置を取っていないことがあるとすれば大問題です。国際社会と足並みを揃えるためにも、日本は中国全土からの渡航制限を直ちに検討し、実施すべき段階に入ったと思います。

武漢封鎖当時の状況と、現在の日本も感染地域として指定され、入国制限を行う他国が出てきている状況とでは、取るべき政策も変わっていくのが当然です。

まとめ-危機管理はあっちを立てれば、こっちが立たずが基本

武漢封鎖時に中国滞在者の渡航制限を行っていれば感染の拡大は防げたとか、むやみに病院を受診することを控える提言に対して、「家で死ねということか」などという感情的な意見がネット上で飛び交っています。

しかし、前述の早い段階で中国滞在者の全面渡航制限を実施したアメリカですら、CDC(疾病対策センター)が「いずれ、アメリカでも感染が拡大する可能性が高い」と会見しています。

そうなると、武漢封鎖直後に全面渡航制限をしていたとしても、感染拡大のタイミングを遅らせる効果しかなかった可能性が高いことになります。政府がそのことを知っていたとすれば、経済への損失を最小限に抑える程度の渡航制限にとどめた判断も間違っていなかったことになります。

極論を言えば、新型コロナウイルスの感染拡大を0にするには、みんな家から出てはならないということになります。しかし、これでは経済活動が壊滅し、別な死者が出ることは容易に想像できます。危機管理は極論では成り立たないのです。

あっちを立てれば、こっちが立たずという難しいバランスの中で国益を最大化させる対策を取るしかないのです。この視点が一番大事な視点であるし、政府の対策を批判するにしても色んな角度から見て、メリットとデメリットを理解して、批判する姿勢が必要ではないでしょうか。


投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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