北方領土・ヤルタ会談-「悔しいけれど、ロシア側の暴言にも一部根拠があるんだよね」

解説:最近の情勢としては、シンガポールで行われた昨年の日露首脳会談で、日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉の加速で合意しています。この合意を受けて、日本国内でも二島返還の機運が高まってきています。

そもそも四島一括返還とは

日本は戦後、GHQの占領当地を受け、1953年のサンフランシスコ平和条約にて独立を回復しましたが、国連にはソ連が拒否権を行使するため、加盟できずにいました。その後、1956年に日ソ共同宣言が締結され、ソ連との国交を正常化したことで、国連に加盟することができました。その際にソ連と平和条約締結後に歯舞群島・色丹島の二島の引渡しとすることで合意しました。

しかし、冷戦の最中において、西側陣営に所属していた日本がソ連と平和条約を結ぶことを良しとしないアメリカからの圧力がかかります。これが「ダレスの恫喝」と呼ばれるもので、日本が二島返還で合意し平和条約を結ぶならば、沖縄を日本に返還しないとしました。この恫喝以降、日本はソ連に対して四島一括返還の立場を取ることになり、その後の交渉でも折り合うことはなく、今日に至っています。

戦後秩序としての見方

日本の多くの国民としては第二次世界大戦中のソ連が日ソ中立条約を破って火事場泥棒のように北方四島を取られたという意識があります。実際に1945年8月9日に日ソ中立条約を破棄した形で宣戦布告され、8月15日の終戦記念日以降もソ連軍の侵略は続き、歯舞群島が9月5日に占領されたことをもって、ソ連の日本の領土侵略は終わっています。終戦後もGHQに占領され、主権を持っていなかったこともあり、北方四島を武力で取り戻すことも出来ず、現在もロシア(ソ連)に不法占拠されていると認識されている方が多いと思います。

しかし、これを国際社会の枠組みの中で捉えてみると、個人的には非常に腹立たしいことですが、ロシアに分がある側面もあるのです。

キーワードは「ヤルタ会談」です。枢軸国の敗色が濃厚になってきた1945年2月にアメリカ、イギリス、ソ連の3カ国で第二次世界大戦の戦後処理について話し合われた秘密会議です。その中で日本の敗戦後の領土処理についても密約が交わされ、ソ連が日ソ中立条約を破り対日参戦をすることと、参戦する代わりに南樺太と千島列島を引き渡すことが3ヵ国の間で密約されました。

このヤルタ会談が第二次世界大戦後の戦後秩序を決めたといっても過言ではなく、その後密約の内容も1946年2月11日に公開されています。だから、ロシア側としては南樺太と千島列島はアメリカ、イギリスといった連合国の主要国と協議した結果、参戦し血を流した結果として獲得した領土であるということになります。これが、先日のラブロフ外相の日本は第二次世界大戦の結果を認めるべきという発言の背景にあるのです。

そして、米英ソを中心として設立された戦後秩序の根本である国際連合に日本が五大国であるソ連の許しを得て入ったということは、ヤルタ会談をもとにした戦後秩序を受け入れることを意味するという見方もできるのです。

その後、冷戦が激化していく中で、1956年にアメリカのアイゼンハワー大統領の時代にアメリカ国務省がこの密約は公式文書ではなく無効である旨の声明を発表していますが、実際にはこの密約に沿った戦後処理が行われているのです。

こうした状況を見れば、非常に悔しいですが、国際社会では日本が主張する「日ソ中立条約違反」は弱く、また、ソ連とはサンフランシスコ平和条約を結んでいないので、日本が千島列島を放棄したという約束はないという主張も国際社会では響かない可能性が高いのです。

シベリア抑留の国際宣伝を

日本国民としては非常に腹立たしいですが、先述のように北方領土についてのロシア側の認識について見てきました。最後にこの状況を打破するための個人的なアイデアを提案したいと思います。

それはシベリア抑留についての不法性と人道に反する扱いが行われた点を韓国に見習って(?)、国際社会に宣伝戦を行っていくことです。シベリア抑留とは第二次世界大戦後に降伏、または逮捕された日本人に対するソ連によるシベリアでの強制労働のことです。これにより、57万5000人がシベリアに送られ、うち5万5000人が劣悪な労働環境の中で死亡したとされています。

もちろん、日本は日ソ共同宣言時にシベリア抑留の賠償を放棄していますから、再度補償を求めるようなことは韓国と同レベルになるので、できませんが、「普遍的な人道的に非道な戦争犯罪を記憶し、根絶するために」という名目で、当時のシベリア抑留の犠牲者を偲ぶ民間運動が高まっていけば、多少はロシアに対する圧力になるのではないでしょうか。 少なくとも日本国民として、シベリア抑留の被害にあわれた先人への哀悼の意を持ち続けて記憶していくことは必要だと思います。

今回は日本人としては多少不愉快ながらも、ロシア側の見方からみた北方領土についての違った見方を紹介しました。個人的にはロシアとの正式な領土に関する条約はポーツマス条約まで遡るのだから、北方四島どころか南樺太まで日本に戻ってくることを期待しています。


投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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