台湾・安全保障協力-「トランプ大統領を利用し、日本もなし崩し的に協力できる方法を模索すべき」

解説:今年3月に台湾の蔡英文総統が産経新聞のインタビューの中で、安全保障・サイバー分野での直接対話を日本に呼びかけました。日台間に正式な国交はなく、中国の反発を考えると、安全保障分野での協力は難しいと考えてしまいますが、トランプ大統領の個性を利用して、なし崩し的に協力できる方法があるのではないでしょうか。

トランプ大統領なら何でもやりかねないという意識

トランプ大統領が大統領に就任してから、その圧倒的な公約実行力でこれまでの国際社会を形作ってきた秩序や暗黙のルールを破壊していきました。例えば、パリ協定からの離脱、東エルサレムへの大使館移転、TPPからの離脱、INF(中距離核戦力)廃棄条約の破棄など挙げればきりがないほどです。

その背景には、トランプ大統領がアメリカファーストで世界秩序を破壊しているという見方ではなく、中国と世界覇権をめぐり、対峙していくという大戦略があると見ていますが、トランプ大統領なら何でもやりかねないという空気があるのは事実です。

台湾に関するものでも、「台湾旅行法」を制定しました。この法律では閣僚級の安全保障関連の高官や将官など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の地位の者と会談することや、台湾高官が米国の国務省や国防省を含む当局者と会談することを認めることを定めています。

これは台湾を限りなく国家と認めるに等しい法律で、理屈の上ではトランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問が可能になります。当然中国は強烈に反発しているのですが、中国の反発を恐れずに米台関係を強化していくことが、対中戦略にとって有利になるという視点で実際に軋轢を気にせず実行していくことは、トランプ大統領の強烈な個性があってこそできることだと思います。

台湾の地政学的重要性

トランプ大統領が台湾を重視している理由は、台湾の地政学的な重要性です。中国は南シナ海の領有権主張、台湾への武力行使も辞さないという発言や日本の尖閣諸島への領有権主張などを行っており、その背景にはオバマ前大統領との会談で発言したとされる「太平洋を東西で分割する」という戦略目標があります。

このように、中国は太平洋に進出する野心を持っていることは明白ですが、中国が太平洋に出て行くときに邪魔になるのが台湾と日本なのです。これは世界地図を中国中心に見ると良く分かります。中国が太平洋に出ようとすると日本列島が蓋をする形になっています。日本列島を避けて南側を抜けようとすると台湾が邪魔をする形になるのです。

だからこそ、アメリカにとっては、中国の太平洋進出を防ぐ拠点として台湾は非常に重要であり、軍事協力も積極的に行っているのです。ちなみに、台湾に近い沖縄にアメリカ軍の基地が集中しているのも、台湾に中国が攻撃したらすぐに駆けつけられる位置だからという地政学的な理由もあるのです。

日本にとっても台湾は重要で、日本が輸入する原油の8割が台湾近海を通っています。台湾近海は日本にとって最も重要なシーレーンといえます。シーレーンとは通商・戦略上重要な価値を持ち、有事に際して確保すべき海上交通路のことです。この台湾が中国に取られ、海上封鎖されれば、日本にエネルギーを輸送する船舶は大きく迂回ルートを取らねばならず、日本のエネルギー価格は高騰し、最終的には日本の国際競争力を削ぐことにつながります。

このように、台湾が独立を守り、中国の侵略的意図を跳ね返し続けることは、日米両国にとって、重要な国益であるといえるのです。

まとめ:トランプ大統領が台湾への安全保障協力を開始する時に即応しよう

「台湾旅行法」だけでなく、現在進行形の米中防衛機戦争とファーウェイの締め出しや前の記事のペンス副大統領の演説を見ても、アメリカが中国の覇権主義に対抗する戦略があることは明白になっていきました。

こうした中でアメリカよりも地理的に近い距離で中国と対峙していく日本にも大きな戦略観が必要になってきます。日本と台湾は正式な国交はありません。だからこそ、日本が単純に安全保障上の協力をすることはできません。これはアメリカも同じで、武器の供与はしていますが、米台で軍事演習を行うことはできないのが、これまでの国際社会の常識でした。

しかし、これもこれまでの国際常識でイスラエルの主権を認めてこなかったゴラン高原の主権をイスラエルに認めるという判断を、ロシアやシリアの反対を押し切って、決定できるトランプ大統領であれば、台湾との軍事演習を中国の反対を押し切ってやっていく可能性もあります。

実際に2018年8月13日にトランプ大統領が署名した国防権限法(NDAA)案には台湾について言及した箇所で、台湾との実践的な訓練及び軍事演習の推進を含め、「台湾旅行法」に基づき、米台の国防長官及び将軍クラスの交流を促進することも定められており、米台軍事演習の可能性は高まってきています。

日本としては、このトランプ大統領の動きにすぐに即応できるように、トランプ大統領との口裏合わせをしておく必要があると思います。具体的には、普通に米台軍事演習に関わることを発表することは、中国の反発と台湾との正式な国交がないことを考えるとできない状況です。

そこで、トランプ大統領から対日貿易赤字を非難させて、そのバーターとして米台軍事演習にお金や自衛隊を出すように言われたという形を作れば、トランプ大統領に言われて仕方ないという形で日本も台湾に協力できるようになります。

そのようなずる賢い外交を展開して欲しいと願います。今の安倍・トランプの友好関係であれば、それくらいの口裏合わせはできるのではないかと思います。このようにトランプ大統領の強烈な個性を国交のない台湾と日本が協力するために利用するという視点は、人とは違った視点と言えるのではないでしょうか。

投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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