尖閣諸島・自衛隊-「弱腰でなく、中国は自衛隊が出てくるように挑発しているんだよ」

解説-中国の尖閣諸島への野心は衰えることを知らず、継続して海警局の船を領海・接続水域・周辺海域に入れてきています。日本政府は中国に抗議をし、現場では海上保安庁の巡視船が退去するように警告をするというのが、最近繰り返されている反応です。

これに対して、日本国民の中には、政府の対応が抗議と巡視船の警告しかしないことを弱腰として批判が出ていることも事実です。しかし、領海を犯されているのだから、巡視船ではなく自衛隊を出すことは、中国の思う壺になるので反対です。

中国の尖閣諸島領有権主張の弱み

中国は執拗に海警局や軍艦も含めて、尖閣諸島周辺に継続的に侵入してきています。また、尖閣諸島を「核心的利益」と述べて、妥協の余地のない国益であることを示しています。この「核心的利益」という言葉はチベットや台湾に対しても使われている単語です。

これほどまでに中国が尖閣諸島に固執するのは、尖閣諸島の海底に手つかずの石油や天然ガスの資源が眠っているからです。実際に中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、1960年代の終わりに国連の専門機関が尖閣諸島の海底に資源があるという報告書を出した直後です。

それまでは中国は一度も尖閣諸島の領有権を主張したことはありませんでした。それどころか、決定的な弱みとなるものを中国政府自身が世界に向けて発表しているのです。

それが、中国共産党の機関紙である人民日報が過去に発行していた記事なのです。1953年1月8日付けの記事の中で「琉球諸島は、(中略)尖閣諸島、先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、トカラ諸島、大隅諸島の7組の島嶼からなる」という記事が出ています。

その他、1960年4月に出版された中国の地図出版社が出した世界地図集でも尖閣諸島は沖縄県に属するものとして扱われています。こうした出版物は中国国内だけでなく、世界中に存在しているので、その全てを処分することは難しい状況です。

また、1920年に中国(当時は中華民国)が日本側に対して出した遭難した漁民を日本側が救助したことに対しての感謝状があり、その中では遭難した漁民が漂着した場所が「日本帝国沖沖縄県八重山郡尖閣諸島」と記載されており、当時の中国が尖閣諸島を日本の領土と見ていたことがわかります。

このような記事や地図や感謝状の存在は、中国にとって領有権主張の弱みであることは間違いありません。歴史的に見ても、国際法的に見ても中国固有の領土だという主張は真っ赤な嘘なのです。

中国の狙いは紛争を起こすこと

中国の尖閣諸島領有権の主張が自らの機関紙が発行した記事によっても正統性がないものであることは、中国側も十分承知です。それでも、中国は尖閣諸島を奪うべく、何度も領海や接続水域に船を侵入されているのです。

中国側の戦略は尖閣諸島で紛争を起こすことです。紛争が起きてしまえば、「これまでの過去の経緯はどうであれ、現在領土をめぐって紛争が起きている」と国際社会にアピールができます。

そうなると、ここが日本の決定的な弱点なのですが憲法9条により、「国の交戦権は、これを認めない」のですから、武力ではなく話し合いで解決という手段しか日本にはありません。話し合いになれば、話半分が外交交渉の基本ですから、完全なる日本の領土である尖閣諸島の領有権のいくらかを中国に奪われることになります。

この中国の戦略が分かっているからこそ、日本は自衛隊を出さず、あくまで海上保安庁の船で対応しているのです。挑発に乗って自衛隊を出してしまうことこそ、中国の戦略に乗ることになり、国益を失うことになります。

同時に、中国の船は機関砲と見られるものを積んでいたり、軍艦を白に塗って海警局の船にしていたりと火力では圧倒的に劣るという恐怖の中で、懸命に職務を全うされている現場の海上保安庁の職員の方への感謝の気持ちを国民が忘れてはならないと思います。

まとめ:尖閣諸島は安保適用の範囲だが・・・

現在、日本政府の見解は「尖閣諸島には領土問題はない」という立場です。これは先述の中国の戦略に乗らないという意味もありますが、日本の施政権が及んでいるということを示す意味もあります。

アメリカとの日米安全保障条約の第5条に日本の防衛義務を定めた項目がありますが、これに関して、アメリカは尖閣諸島も安保第5条の適用範囲であるとしています。しかし、ここには前提条件があり、「日本の施政下にある領土」である必要があります。つまり、領土紛争があると認めてしまえば、日本の施政下にあるかどうかわからないとなり、安保5条の適用範囲外になる危険性もあるのです。

中国の挑発に乗って自衛隊を出動させることは、尖閣諸島に領土紛争があるということで、日本の施政下ではないという宣伝を中国が国際社会に行うことは十分に予見されることです。そうなると、米軍も安保適用が難しくなりますし、先述の通り憲法9条がある日本の交渉は圧倒的に不利になります。

政府の弱腰を批判している方々はもちろん、日本が中国の侵略することを危惧していると思いますが、自衛隊を出せない背景を理解した上で、議論してほしいと思います。

このように弱腰と見える日本の対応の背景には日米安保条約と中国の意図に乗らない戦略的事情があるという見方も人とは違った見方と言えるのではないでしょうか。

投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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