「小泉新大臣は汚染水の真実を発信するチャンスを潰したな」

解説-9月11日に行われた内閣改造の目玉は小泉進次郎氏の環境大臣就任でした。早速、福島第一原発の汚染水に関して、前原田環境大臣の「海洋放出しかない」との発言を関係者に謝罪するというパフォーマンスを行いました。

また、原発についても就任記者会見で、「どうやったらなくせるかを考え続けていきたい」と述べ、原発依存度を下げて、再生可能エネルギーの比率を高めたいという考えを示しました。

いずれも大衆ウケしそうで、自分のキャラクターを熟知しているなという印象ですが、今回の発言は、勉強不足と判断の悪さを露呈しており、国を導いていく政治家としては現状では期待できないと思います。

-トリチウム(三重水素)は海洋放出しても問題ない。

現在、福島第一原発から出ている汚染水について、中に含まれている放射性物質について、全く報道されていません。このことが、風評被害を生む大きな原因ですし、風評被害を恐れるからこそ、漁民の方々が海洋放出に反対しています。

そもそも、福島第一原発からどのように汚染水が出ていて、原田前環境大臣が「海洋放出しかない」と発言したことは、本当に間違いなのかについて検証していきます。

福島第一原発では事故によって生じたデブリ(融解燃料)を冷やし続ける為の水や雨水、地下水が放射性物質に汚染されることで、汚染水が発生しています。一時期よりは減ったものの、現在でも1日約170万トンの汚染水が発生しており、その汚染水は福島第一原発の構内に貯蔵されていますが、貯蔵スペースにもコストを負担することにも限界があります。

しかし、この汚染水の中身については何となく「放射性物質に汚染された危険な水」という認識しかない国民がほとんどではないでしょうか。科学的にこの汚染水を見ていくと、放射性物質に汚染された直後に専用の放射性物質除去装置の多核種除去設備 (ALPS)によって、トリチウム以外の放射性物質は告知濃度(法律で定められた放出のための濃度限度以下)にまで除去されています。

つまり、汚染水とは技術的な問題で除去が難しい放射性物質のトリチウムだけが除去できずに残っている水ということになります。このトリチウムは自然界にも存在している物質で、私たちが飲む飲料水にも含まれており、半減期は約12年です。また、トリチウムの放出するβ線のエネルギーは非常に小さく、被ばくリスクも小さく、体の特定の部位に滞留することも起こりにくく、人体への影響も他の核種と比べて非常に小さい為、海洋に放出しても問題ないとされています。

だからこそ、世界の原発では一定の基準以下にまで希釈されたトリチウムは海洋放出しても問題ないとされています。「放射線オリンピック」と日本を中傷している韓国の原発でもトリチウムは海洋放出されているのです。

-やるべきことは風評被害をなくすこと

汚染水に関して、「海洋放出しかない」という原田前環境大臣の発言は個人的見解を述べたに過ぎず、海洋放出の是非については経産省の委員会で議論されている段階です。しかし、上記のような科学的見地と世界での処理状況を考えると、結論は「海洋放出しかない」に落ち着くのではないかと思います。

国民の大多数も汚染水の内情について、マスコミが報道しない為、詳しく知ることもなく、何となく放射性物質が入って危険じゃないか程度の認識しかないのが現状です。そんな状況だからこそ、海洋放出に対して、風評被害が起きることは必然であり、地元で商売をしている漁業者が風評被害を恐れて、反対するのは当然のことです。

この現状を変えることこそが、国益であり、福島県の復興にもつながることです。汚染水問題を世界標準の方法に沿って、海洋放出によって解決し、国民に正しい知識を浸透させることで、福島県に対する風評被害を抑えて、地元の方々の生活を取り戻すことこそ、政治に求められていることです。

その為に小泉新大臣には自らが持つ人気と発進力を駆使して、風評被害の現況である汚染水に対する国民の認識を正すことが求められます。現状では、それとは真逆の謝罪パフォーマンスしかできていないことはとても残念です。

まとめ:将来の首相に向けた正念場

この汚染水問題だけでなく、就任会見での原発をなくし、自然エネルギー比率を増やしたいと発言もしています。どうしても、一連の反原発の言動の背後に父親の小泉純一郎元総理の影がちらついてしまいます。本当に信念を持って、反原発を主張するのであれば、国家としてのエネルギー政策についての所見を述べるべきです。

中東情勢が緊迫化している中で、原発を廃止しても、国内のエネルギー供給に問題はないのかといった海外要因も含めて、反原発を実現する為の具体的な政策を提言してほしいと思います。父親の純一郎氏は政治家を引退しているので、自分の理想を語るだけでも許されますが、政治の最前線にいる進次郎氏は理想だけでは政治が動かせません。

利害関係者の説得や党内の根回しといった水面下の汚れ仕事をこなせるようにならなければ、自分の実現したい政策は実行できません。進次郎氏は初当選から抜群の人気で、次の総理にふさわしい政治家としても常に上位をキープしています。しかし、今回の環境大臣就任により、政治家として成長できるのかを試される時が来ています。

大臣就任後の初手としては、汚染水について世界標準の処理方法について不勉強であったために、前大臣の海洋放出発言の謝罪というパフォーマンスにより、逆に汚染水の解決を遠ざけてしまったと思います。

ここから挽回して、本当の将来の総理候補になれるのでしょうか。異例の若さでの初入閣を見れば、国民だけなでなく、自民党も小泉氏には期待しているのは確かです。

私としては、まずは汚染水について正しい知識と世界標準の解決法を勉強して頂き、自身の人気と発信力をフル活用して、マスコミを動かすことで、国民に正しい知識を浸透させ、地元を説得させた上で世界標準の海洋放出を行うことができるような政治家に成長してほしいと思います。


投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です