米朝首脳会談・制裁解除なし-「トランプ大統領は本当に交渉の天才かもしれないよね」

解説:米朝首脳会談は合意無しの物別れに終わりましたが、妥協すると見られていたトランプ大統領ですが、北朝鮮が公表していない秘密の核施設の情報開示を突きつけました。この情報があったからこそ、トランプ大統領は安易な合意をしないという正しい選択をしたのです。

北朝鮮は足元を見られていた?

今回の会談で北朝鮮側は寧辺の核施設の廃棄をカードとして出してきました。これの引き換えに、アメリカから制裁解除を要求しましたが、アメリカ側はこれを呑まず、最終的に合意なしで終わってしまいました。

合意なしになる予兆は2日目の拡大会合の際に対北朝鮮強硬派のボルトン大統領補佐官の出席で見えていました。ボルトン氏は事前の随行者リストには載ってなかったにも関わらず、拡大会合に出席したのです。

もちろん、会合内容は非公表なので、具体的に表に出てくることはないですが、これまでの経緯とその後の発言から読み解ける点があります。

北朝鮮側から親書を送ってきた

第一に、北朝鮮への経済制裁がある程度は効いているということです。今回の第二回の米朝首脳会談のはじまりを思い出せば、金正恩委員長がトランプ大統領に新書を送ったことが出発点です。

そこから事前協議があり、なかなか上手くいっていないとの報道がありました。その中でトランプ大統領の非核化は急がないというような融和的な発言や、いわゆるロシアゲート疑惑や側近の暴露などのスキャンダル問題でトランプ大統領がポイント稼ぎのために、安易な妥協をするのではないかとの目測が立っていました。そして、今回の会談で、北朝鮮側の要求として寧辺の核施設廃棄の見返りに経済制裁の解除を要求してきました。

ここで、前回の米朝首脳会談前と比較してみると、前回の第一回米朝首脳会談前は経済制裁はもちろん、アメリカが空母を北朝鮮周辺に展開し、軍事的に最高潮に近い状況まで圧力を掛けていました。いわば命を狙うという脅しを受けていたのです。

しかし今回は、経済制裁は続いているものの、軍事的には前回ほどの圧力が掛かっているわけではないにも関わらず、北朝鮮側から親書を送ってきているのです。

表に出ている事実だけのラインをなぞれば、金正恩委員長から会談を呼びかけて、経済制裁の解除を要求してきたということになります。これは北朝鮮がアメリカに対して下手に出ざるを得ない状況があるということです。

現状では核を手放す気はない

第二に、北朝鮮は核兵器を手放す気はないということです。今回の経済制裁解除の見返りに挙げたと言われているのは寧辺の核施設の廃棄です。逆に言えば、寧辺の核施設の廃棄以外は行わないと言っているのです。これは、既に核兵器が小型化され、北朝鮮国内に分散して保管されている可能性を考えると、アメリカに北朝鮮を実質的に核保有国として認めろと言っているに等しいことです。

金正恩委員長にとって、核こそがアメリカの大統領を釣るエサであるし、国内の権威の正当性を確保する神器であるのですから、それを廃棄することは身の安全を放棄することにつながるため、何とか捨てる振り、捨てた振りをして核を持ち続けるでしょう。逆に言えば、それまでは金正恩委員長が本気で核廃棄に動くことはないといえます。

北朝鮮はアメリカを甘く見ていた?

こうした北朝鮮側の前提を踏まえたうえで、北朝鮮側に立って今回の会談を見てみましょう。北朝鮮としては核兵器の完全廃棄はしないが、経済制裁の解除は欲しいという状況です。その中で、カードとして寧辺の核施設の廃棄というカードを切っています。

そして、この裏に隠している未発表の核施設があり、今後もそこで核開発を継続させる気だったことが判明したのです。つまり、アメリカ側に寧辺の核施設を廃棄とこれ以上の核開発をしないことを約束し、経済制裁を解除させ、その後また苦境に陥ったときに、秘密の核施設で開発していた新型核を実験する気だったということです。

それを見抜いていたアメリカ側のボルトン補佐官が、拡大会議の中で秘密の核施設の存在の情報開示を求め、北朝鮮側はそれを拒否したことで、合意なしの会談になったというのが真相のようです。事前の実務者協議では上手く行っていなくても、妥協をしたがっているトランプ大統領との直接の首脳同士で話を付けられると思っていた金正恩委員長から見たら、大誤算だったと言えるでしょう。

トランプ大統領の交渉力

今回の合意なしという結果はトランプ大統領の真骨頂だといえます。これまでもTPP、パリ協定など、国際条約から離脱し、交渉の為なら外交儀礼さえも無視できるトランプ大統領だからこそ、北朝鮮側はトップであるトランプを丸め込めば実務者協議を無視しても、制裁解除が勝ち取れると読んだのでしょう。

しかし、それを逆に利用したトランプの交渉力は見事で、秘密の核施設の情報開示を迫るというカードで、北朝鮮の動きを止めたのです。今後、北朝鮮はまた会談をセットする努力から始めないと行けない状況になりました。

北朝鮮がその努力をしないのであれば、経済制裁が継続するだけです。そして、その経済制裁が効いていることも今回の会談で明らかになりましたから、北朝鮮としては経済制裁解除というゴールに向けて、努力はしないといけない状況に追い込まれました。

このような結果を考えると、トランプ大統領の交渉力はずば抜けているという違った見方で見られるのではないでしょうか。

投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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