米朝首脳会談・合意せず-「次は日朝首脳会談で拉致問題解決を」

解説-全世界が注目していた二回目の米朝首脳会談が想定外の結果に終わりました。何も合意ができないまま、終了してしまいましたが、これは日本にとっては及第点と言えると思います。

最悪の結果は回避された

今回の米朝首脳会談で日本側にとって最悪のシナリオはトランプ大統領が目先の成果のために安易な妥協で合意してしまうことでした。具体的には完全な核廃棄を目指さず、アメリカに届くICBMの廃棄を持って、制裁解除に合意することです。今回はこの最悪なシナリオが回避されたという点においては、日本側としては胸をなでおろす結果だったと言えます。

会談前のトランプ大統領の発言等々からは、核廃棄に対して少し妥協的な様子が見て取れたうえ、いわゆるロシア疑惑の報告書が発表される見込みということで、そこから目をそらすために妥協的な合意をする可能性がありました。

実際にアメリカ向けのICBMの廃棄のみで合意をされていた場合、日本へ届く短距離ミサイルは残るということになり、アメリカが核の全廃棄を諦めたということなので、実質日本に向けた核を備えた実質核保有国の北朝鮮が残るという最悪の結果になるところでした。

しかし、事前の事務方の協議が順調に進んでいないという話はありましたが、それでも実際にランチの予定をキャンセルして、席を立つことができるトランプ大統領の交渉はなかなかできることではないと思います。この合意なしという結果は、金正恩にとって大きなダメージになる一手です。

メンツ丸つぶれの金正恩

今回、ベトナムのハノイで会談が行われたのですが、金正恩委員長は陸路で現地入りしています。前回の第一回のシンガポールでの会談では、飛行機で現地入りしています。陸路でベトナムに入るということは、時間もかかるし、今回は前日から現地に入っています。

この事実を別角度から見ると、金正恩委員長が以前より国内の権力基盤を強化できているということです。これだけ長い時間、北朝鮮を離れることができるということは、政変が起こる可能性が低くなっていることを意味します。

これには前回の米朝首脳会談が関係しています。核兵器と長距離ミサイルの開発を進めたことによって、父親の金正日ができなかったアメリカの大統領との1対1の首脳会談を行ったという「絵」は金正恩委員長から見れば、北朝鮮外交の集大成とも呼べるものでした。

それが一転、第二回の今回の首脳会談では何の合意もできず、制裁解除どころ、緩和すらなしの手ぶらで北朝鮮に帰らなくてはなりません。金正恩委員長にとってはメンツ丸つぶれなのはもちろん、国内の求心力の低下にもつながりかねません。

日本はいまこそ日朝首脳会談を

北朝鮮の金正恩にとっては悪い結果になった第二回の米朝首脳会談ですが、これを日本目線で見てみたいと思います。

今回の首脳会談で金正恩委員長は成果を持ち帰ることができず、帰国することとなりました。しかも、次回の会談の約束もなかったということが、重要な事実だと思います。

先述した通り、金正恩委員長の最大の功績は父親ができなかったアメリカの大統領との1対1の会談に引っ張り出したということです。今後、米朝首脳会談ができない可能性があるということは、金正恩委員長の外交成果の無効化を意味し、これは金正恩委員長を窮地に追い込む可能性があります。

1対1でアメリカの大統領と直接会談を行い、北朝鮮の指導者としてアメリカの大統領に認められたという虚構が崩れていくからです。特に若くして世襲で独裁者となった金正恩委員長にとって、これは権力の正統性の大きな柱を失うことを意味します。制裁緩和を見込んでいた北朝鮮にとって、今回の合意なしの制裁緩和なしどころか人道支援すらなしという結果は予想外の結果と言えるでしょう。

ここで日本が出ていくべきです。すでに安倍総理が「次は私自身が金氏と向き合わなければならないと決意している」と述べています。アジアの大国である日本の首相と金正恩委員長が1対1で会談をするという「絵」は、今の金正恩委員長にとっては喉から手が出るほどほしい「絵」ではないかと思います。

つまり、今回の合意失敗で「日朝首脳会談」というカードの価値が上がったと言えます。言うまでもなく、日本には最重要課題の拉致問題の解決という課題があります。この状況を利用し、日朝首脳会談や不本意ですが、例えば人道支援と引き換えに何とか同胞を取り返せるように外交を行ってほしいです。

まとめ:拉致問題という不幸を逆に武器に

この状況では拉致問題という不幸な問題があるからこそ、日本ができる独自外交があると思います。具体的には、拉致問題の解決が名目であれば、日本だけが北朝鮮に公式にお金や物の援助ができるという点です。誘拐犯にお金を払うようなもので、私個人としては到底納得はいきませんが、前のエントリーでも書いたように、軍事力が使えない日本国憲法の下では、使えるものは何でも使って、拉致被害者を取り戻すという大目標のためには、涙を呑んでもやるべき外交だと思います。

このような日本側という見方で今回の米朝首脳会談を見ていけば、他とは違った見方ができてくるのではないでしょうか。

投稿者: ミカタマン

福岡県出身、熊本在住の普通のサラリーマン。2児の父親です。ニュースを見てひとりで文句を言うのが趣味です。その趣味が高じてこのブログを立ち上げました。

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